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映画ノート

キルスティン・ダンスト『メランコリア』

オスカーを騒がせそうなイイ女 キルステン・ダンスト

女子投入ついでに、今日はキルスティン・ダンストいきましょう。
ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』って、SFスリラーだったのね~。
 
メランコリア (2011) デンマークスウェーデン/フランス/ドイツ
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:キルステン・ダンストシャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランド
シャーロット・ランプリングウド・キアステラン・スカルスガルドアレキサンダー・スカルスガルド
 
キルスティン・ダンストカンヌで女優賞を受賞した作品です。
メランコリアとは「憂鬱」という意味があり、
てっきりキルスティンがうつ病の女性をうまく演じたのだと思ったのだけど
それだけじゃなかったんですね。
 

この映画、2章に分かれていて、
一章目はキルスティン演じるジャスティンの結婚式の様子が描かれます。
だんだんに言動が怪しくなるジャスティンにハラハラ。
そして第二章では、ジャスティンの欝の原因ともいえる
巨大惑星メランコリアの地球接近が描かれ、一気にSFスリラーへと様相を変えるんですね。

とにかく壮大です。
来年は2012年、世界の終末はこんなふうにやってくるのかな。
 
劇中キルスティンが「The earth is evil」と言うシーンがあるけど
ヒトラーを擁護する発言をしたというラース・フォン・トリアー監督の本心は
この言葉にあったのかなと思いました。
つまり、邪悪な人類の存在により、地球は滅びるべきであると。 
 
奇しくも今年のパルムドール
地球の創生に遡り、命の根源を描いた『ツリー・オブ・ライフ』が受賞したけれど
地球の終末を描くことで人類の罪や魂の救済をあぶりだす本作こそ、
今の私たちが求める作品かもしれません。
 
ワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」のオーケストラのサウンドをバックに
繰り広げられるスペクタクルな映像美も圧巻。
キルスティンとW主演と言ってもいい、シャルロット・ゲンズブールの演技も見事です。
 
キルスティンの母を演じたシャーロット・ランプリングの奇怪な言動も、最後まで見れば謎が解けます。
 
一瞬たりとも息を抜けない緊張感の中、ふっと訪れる静寂に
最後は不思議な安らぎを感じ、ひたすら泣きました。
 
私がアカデミー会員なら間違いなくこれに一票を投じますね~。
でもヒトラー発言はアカデミーには不利になっちゃうかな。
 
何はともあれ、予想をはるかに超えた凄い作品でした!!