しまんちゅシネマ

映画ノート

ある子供


2005年(フランス/ベルギー)
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ/デボラ・フランソワ/ジェレミー・スガール/ファブリツィオ・ロンジョーネ/オリヴィエ・グルメ
■感想
カンヌ特集 10本目!
今日はベルギーの実力派ダルデンヌ兄弟の『ある子供』を
カンヌでは『ロゼッタ』に続く2度目のパルムドール受賞です。
 
ベルギーというのは若者の失業率が20%なんだそうです。
そんな時勢にあって、主人公の20歳のブルニュは、定職も持たず、ひったくりなどでその日暮らしをする日々。
ところが17歳の恋人ソニアが男の子を出産
母となった喜びに浸るソニアに対し、ブルニュには父親としての自覚も、赤ん坊への愛情も沸いてない状況。
そしてそのことがある事件へと繋がってしまいます。
 
ブルニュのあまりにも子供で、無鉄砲な行動にため息が出る思いだけど
ある意味時代に翻弄された若者でもあるんですね。
ブルニュのひったくり仲間がまだ小学生くらいの子供であることに、底辺の深さを感じるし
経済の悪化は、そのまま治安の悪化にも繋がるという怖さが伝わります。
彼が道行く人に気軽に(?)小銭を無心する姿にはちょっと驚きます

それでもブルニュの本質は真のワルではないという見せ方に作り手の視線の暖かさを感じるところで
リアルで痛いけど、頑張れ!と若者にエールを送りたくなる作品でした。

さて、カンヌ作品関連10本になったところで、今月のテーマはお開きとします。
まだまだ観たい作品いっぱいあったのだけど、また次の機会に。