しまんちゅシネマ

映画ノート

ブラジルから来た少年


1978年(イギリス)
監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:グレゴリー・ペック/ローレンス・オリヴィエ/ジェームズ・メイソン/リリー・パルマー/ユタ・ヘーゲン/スティーヴ・グッテンバーグ
    
■感想
倫敦から来た男つながりでw今日は『ブラジルから来た少年
アイラ・レヴィンの小説をもとに『猿の惑星』『パピヨン』のフランクをリー・J・シャフナーが監督し映画化。
ナチスドイツの復興を企てるナチス残党の陰謀を描くスリラーです。
 
グレゴリー・ペックが演じるのは、ナチス残党のメンゲレ博士
メンゲレは世界に隠れ住む元SSなどを召集し、ある計画を発動
94人の65歳の公務員を殺害するというその計画は、ナチスの復活を告げる悪魔の計画でもあった。。
 
一方、その計画を知ることになる老齢のナチスハンターを演じるのがローレンス・オリビエ
世界に隠れ住むナチス残党を探し出し、告発するのが彼の使命
メンゲレの計画を阻止しようはじめた地道な調査の末、明らかになる驚愕の陰謀が恐ろしい作品でした。

まずは狂信的ヒトラー信者である、マッドサイエンティストを演じたグレゴリー・ペックにびっくり
誠実を絵に描いたようなというイメージを覆す怪演ぶり。
後半は徐々にヒトラーに向ける狂信ぶりも見えてきて、異常性が増す演技でした。
遺伝子学に詳しい医者でもある博士が、その陰謀の手段として利用するのがクローン技術
タイトルをみると原題は『THE BOYS FROM BRAZIL』となっていて
少年は複数形というところがポイントです。
黒い髪にブルーの瞳の少年が不気味!
 
世界のユダヤ系の人はこの映画をどう観たでしょう。
でも医学の発達により、クローン技術も十分実現可能な段階にある今
同じような陰謀から、存在してはならないクローンが静かにその時を待っている・・
なーんてこともありうるんじゃないかと、真から恐ろしい気持ちになったし
ラストのワンシーンには背筋が凍る思いでした。
wikiによると、この映画の遺伝子決定論的内容に対し批判が向けられたとのこと。
ラストまで観るとなるほどと思うところです。

日本で未公開になったのもそのあたりが関係してるのかな。
でも映画としてはサスペンスフルでとても面白く未公開は勿体無いと思う作品でした。