しまんちゅシネマ

映画ノート

マラソンマン


1976年(アメリカ)
監督:ジョン・シュレシンジャー
出演:ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ/ロイ・シャイダー/ウィリアム・ディヴェイン/マルト・ケラー
【ストーリー】
ラソンが趣味の大学院生ベイブは、恋人といるところを何者かに襲われる。やがてその事件は、ベイブを、ナチ戦犯が画策するダイヤ密輸事件へと引き込んでいく……。(allcinemaより)
   
■感想
ブラジルから来た少年』でユダヤ人ナチハンターを演じ、グレゴリー・ペック扮するナチスの残党と対決したローレンス・オリヴィエが、この映画では逆にナチス残党の政治犯を演じていると聞いて、早速観てみました。
 
ナチスへの執念に燃えながらも、どこか可愛らしく温厚な老齢のユダヤ人を演じるオリヴィエさんだっただけに、ナチス残党をこんなに冷徹に演じていることに、もーー、びっくり!
しかもそのモデルとなるのはペックが演じたメンゲレ博士がモデルというからさらに驚きです。
 
映画はマラソンを趣味とする大学院生ベイブ(ダスティン・ホフマン)が
ナチスがらみの事件に巻き込まれていくさまをスリリングに描きます。
まったく観に覚えのないことで拉致され拷問まで受けるベイブ。


この有名な拷問シーンですが、
最近親知らずを抜歯したダンスさんの記事を読んだばかりなのもあって、恐怖倍増。
申し訳ないけど早回ししちゃったよ~。ダンスさん観たら卒倒するかも^^;
そのシーンを演じるオリヴィエさんの冷酷さがたまりません。
しかもその前にしっかり手洗いするところが医者らしく、その几帳面さも素敵(笑)
 
でも良く分からないのは彼の発する「安全か?」という台詞
それをベイブに確認する意味って何?分からん^^;
 
観終えてみると全体的に「説明不足」を感じるところで、
私には敵の一人の行動にも「?」のところがあり、想像で埋めるしかないのが残念ではあったけど
「不条理」を怒り、立ち向かう主人公という点では面白く観ました。
 
最後にオリヴィエが「mad・・・」と主人公の狂気に憤りを示すところがうまいよねぇ。
お前が言うな!って感じですもん(笑)
通りを歩くオリヴィエにアウシュビッツの生き残りの老人が彼と気づくシーンの緊張は最高。
見せ方のうまい監督さんですね。
 
ラソンというのは孤独で無欲なスポーツだと思うのね。
このタイトルテーマは、逃亡する主人公のど根性の走りに生かされるだけでなく
ラストシーンの主人公の行動にも生かされていたように思います。彼は無欲だったよね。
 
戦い終わってラストシーン
ポケットに一粒のダイヤを見つけ微笑む主人公。。。
なーんてことも普通ならありでしょ。そりゃ『インサイドマン』か(笑)
 
ちなみにラストシーン、ダスティン・ホフマンのかすかな微笑みに
父へのトラウマから開放された主人公の成長をみました。