しまんちゅシネマ

映画ノート

セントラル・ステーション


1998年(ブラジル)
監督:ヴァルテル・サレス
出演:フェルナンダ・モンテネグロ/マリリア・ペーラ/ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ/ソイア・ライラ/オトン・バストス
【ストーリー】
リオ・デ・ジャネイロの中央駅。代書業を営むドーラのもとに、息子を連れた女性が夫への手紙の代筆を依頼にきた。ところが手紙を書き終えた後、その女性は事故で死んでしまう。ドーラは一人残された男の子ジョズエをみかねて家に招き入れる。子供の面倒など見る気のないドーラだったが、仕方なくジョズエを父親のもとへ行かせようと、一緒にバスで旅に出るのだった。(allcinemaより)
 
ベルリン特集 2本目!
http://www.youtube.com/watch?v=0nLJwHxE-pM&feature=related←トレーラー
■感想
ゴーストライター』から間が空いてしまったけど、ようやく2本目。

今日は第48回ベルリン国際映画祭金熊賞(最優秀作品賞)、銀熊賞(主演女優賞)
エキュメニカル審査員特別賞を受賞
したブラジルの作品『セントラル・ステーション』
監督は『モーター・サイクル・ダイアリーズ』のヴァルテル・サレスです。
 
こういうのに出会うから、映画祭特集も捨てたもんじゃないんだよね。
ハートにズッキューン、大ツボな作品でした。
 
タイトルのセントラル・ステーションは、この映画の舞台になるリオ・デ・ジャネイロの中央駅
教師を定年退職後、駅の一角で文字を書けない人のために代書業を営むのが主人公のドーラ。
色んな人が、ドーラに手紙の代行を依頼しにくる様子にも、それぞれのドラマが垣間見えてね。
トレーラーでも見れるけど、このシーンから、「あぁ、この映画好きかも!」って予感しました。
 
主人公となる少年も、母親に連れられ父への手紙の代行をドーラに依頼します。
酒飲みで、家を出て久しい父親だけど、少年は父に会いたい。
その気持ちを手紙に綴るドーラ
ところがその後、母親は駅の外で事故死。
一人残された少年を見捨てることができず、ドーラは少年を連れ父親探しの旅に出ることになります。
父を探して三千里的な作品かと思いきや、少年と初老のドーラの交流が感動的です。

ブラジルの映画って、物騒な感じがして、観なきゃいけないと思うものもいまだに観れずにいるんだけど
温かい国民性も持ち合わせているんだなぁと認識を新たにしました。
それでも、冒頭、駅で万引きをした青年を追いかけ、射殺してしまうシーンがあったり
子供を臓器目的で売買する組織が描かれていたりと、社会背景もチラりと見せています。
信心深い国民性を感じることが出来たし、知らない国の暮らしを知ることができるのも興味深いですね。

ドーラを演じたフェルナンダ・モンテネグロはベルリン女優賞、アカデミー主演女優賞ノミネート他
多くの映画賞を受賞しその演技を評価されています。
愛する人に忘れられた経験から、人を愛することに臆病になっていた女性が、
新たに人を愛し、女性である自分を愛すことが出来るようになる。
彼女の心の変化が微笑ましく、素晴らしい演技に涙が止まりませんでした。

少年を演じたヴィニシウス・デ・オリヴェイラは、本当に駅で靴磨きをしていたところ
1500人の子役を差し置いて、この役に抜擢されたとのこと。
捨てられた子犬のような表情や、時にドーラを逆に諭すほどの大人っぽい表情を見せたり
一体この子はどんなキャパシティを持っているのかと驚きます。
 
少年とドーラの交流を爽やかに感動的に描いた珠玉のロードムービー  超お勧め!