しまんちゅシネマ

映画ノート

シングルマン

 

2009年(米)
監督:トム・フォード
出演:コリン・ファース/ニコラス・ホルト/ジュリアン・ムーア/マシュー・グード/ジニファー・グッドウィン
ヴェネチア特集 1本目! 『シングルマン
■感想
ファッションデザイナーとして第一線で活躍するトム・フォードの初長編監督作品。
コリン・ファースがゲイを演じて、昨年のヴェネチア映画祭で男優賞を獲得したことでも話題になりました。
 
コリン・ファースが演じるのはアメリカで英文学を教えるイギリス人大学教授ジョージ
ゲイであるジョージが16年間ともに過ごした恋人を事故で失うところから映画は始まります。

ジョージの喪失感と、波のように訪れる慟哭を描きつつ
時間はさかのぼり、恋人との出会いや、ともに過ごした日を描く作りです。

同性愛を描くものではありながら、ベッドシーンなどは出てきません。
まるで、初恋のような胸の高鳴りを感じる出会いのシーン
男女のそれと、違うところがあるとすると、彼らが互いにゲイであることを意識してる点。

そして時間は戻り、乗り越えようのない悲しみに自らピリオドを打とうとする、
事故から8ヵ月後のジョージの、ある一日を映し出すのですが
説明は殆どありません。
銀行に預けてあった大切なもの(多分バース・サーティフィケイトとか)を受け取り
几帳面に机の上に並べる
それだけで、彼の決心が伝わるのだから凄い。

そんな最後の日、講義のあと 声をかけてきた大学生のケニーは
夜 再びジョージの前に姿を現します
ケニーとの出会いは、死を決意したジョージの心を静かに癒していくんですね
それは新たな恋を予感させるのですが・・
 
とにかくコリン・ファースの演技に驚きました
ゲイを演じるからといって、いかにもオカマチックな演じ方では決してなく
自分の性に正直に生きる一人の男の恋のときめき、喪失、
そして新たな生への期待などを、繊細に演じきり見事です。
 

大学生ケニーには『アバウト・ア・ボーイ』のニコラス・ホルト
大きくなりましたね~。
キラキラ輝く瞳、キュートなお尻
死を決意したジョージでも惚れちまうぜ~ってところでしょうか

なんか、切なくて愛おしくてね。
音楽の美しさもあって、とにかく途中から涙が止まらない。

浮気がバレて苦笑するような
穏やかに幸せを受け入れるような、、
そんな最後の表情にたまらず号泣してしまいました。

インテリア、60年代のファッションに至るまで
トム・フォードの美的センスは映画に活かされてますが
何よりもこんな美しい映画を1本目から作ってしまう才能に驚愕
 
これはね、とにかく今年のベスト映画になること間違いなしだと思います。
10月2日から日本公開
 
 






 6個だよ!!