しまんちゅシネマ

映画ノート

六月の蛇


2002年(日本)
監督:塚本晋也
出演:黒沢あすか/神足裕司/塚本晋也/寺島進/田口トモロヲ/鈴木卓
  
 ヴェネチア特集 2本目 『六月の蛇
■感想
塚本晋也監督が現代人の抱える心の痛みを描き
ヴェネチアでコントロ・コレンテ部門 審査員特別賞を受賞した作品です。
 
黒沢あすかが演じるのは 「心の健康センター」で電話相談を担当する主婦りんこ
その真摯な対応に自殺を思いとどまる人もいるほど。
ところが、プライベートでは潔癖症の夫とはセックスレスの関係で
夫の心に入り込めない自分を感じています
そんなある日、電話相談の相談者から、
りんこの自慰行為を盗撮した写真と携帯電話が届くのですが・・・。

6月の東京を青っぽいモノクロ映像で映す本作は
ストーカーによって暴かれる セックスレス主婦の性的欲求不満を描き挙げる
エロティックな側面を持っているのですが
次第に潔癖症という名の影に隠れた夫のコンプレックスなどが顔をのぞかせ
夫婦の間に潜む溝の理由になるものも見えてきます

本当はお互いを求めているのに 素直に表現できない夫婦というのは多いのでしょう。
不器用な夫婦が互いをむさぼりあうラストには心を動かされました。

非現実的な映像を投入してるところなど さすが鬼才と言われる監督さんだなという印象
それでもまじめに人の心の闇に迫る、こういう作品を撮る人だったんですね。
勝手に持ってたイメージをいい意味で覆された思いです。
監督自身も死期の迫ったストーカーとして登場します