しまんちゅシネマ

映画ノート

SFデス・ブロードキャスト



1980年(フランス)
監督:ベルトラン・タヴェルニエ
出演:ロミー・シュナイダーハーヴェイ・カイテルハリー・ディーン・スタントンマックス・フォン・シドー/テレーズ・リオタール
   
■感想
バレバレだと思うけど、ブロードキャストつながりです(笑) SMと読まないようにw
 
今の日本、街行く人の多くがカメラ付の携帯を持ち
事件にでも遭遇すれば、一億総カメラマン状態になっちゃう。
下手すればネットに乗って、全世界に発信されてしまうから油断がならないよね。
プライバシーや、個人の権利はどこにいっちゃうんでしょう。

近未来
ロミー・シュナイダー演じるキャサリンはベストセラー電子小説作家。
ある日、キャサリンは医者に呼び出され、余命僅かと死の宣告を受ける
病院を出るや、途端にメディアに追いかけられるキャサリン
死にいく人に密着し、その姿を世界に発信する人気番組「デス・ウォッチ」の
次のターゲットとして選ばれたらしく、その取材攻撃だ。
憤り、メディアから逃れるため、一人旅に出るキャサリン
シェルターに身を寄せるキャサリンを痛みが襲う
その一部始終を見つめ、手を差し伸べる一人の男(ハーヴェイ・カイテル
実は彼こそが、番組から派遣されたカメラマンで
なんとその左目に小型カメラを埋め込み、キャサリンの姿を撮影していたのだ・・・

そもそもキャサリンの書く電子小説って言うのが、プロットを打ち込めば
コンピューターが作文してくれるという代物なんですが
前に書いただのなんだのとコンピューターが勝手に却下してきて、思いどおりにならない。
もはや自分の書くものさえ支配される時代なんですよ。
 
旅に出る前に終末期にある父親を訪ねると
時期を見て病院が安楽に死に導くことを聞かされる
ここでも彼女は死を他人に操作されることを憤ります。
 
映画はそんなキャサリンと、彼女を撮影しながら次第に罪の意識にさいなまれていく
ハーヴェイさんの姿を通し、メディアのあり方に異議を唱え、
近未来に警鐘を鳴らす部分もあるんでしょう。
 
人々が死を見届けようとするのは、普通な(自然な)死がもはや貴重だからなのか。。。
そんなメディアに反発する彼女の最後の選択には賛否分かれるところかもしれません。
 
ロミー・シュナイダーはこの1年後に息子を失い、翌年自ら命を絶ってるんですね。
その寂しげな表情が本人の心に重なるようで切ないです。


スコットランドで撮影されたというその映像はどこか牧歌的で
キャサリンとハーヴェイさんが心を通わせる様子はポエティックでもありました。
 
テレビプロデューサーにハリー・ディーン・スタントン
キャサリンの前夫にマックス・フォン・シドー      
 
切ない後味を残すものの、心に沁みる作品でした。