しまんちゅシネマ

映画ノート

二重の鍵

 
 

1959年(フランス)
監督:クロード・シャブロル
出演:アントネッラ・ルアルディ/マドレーヌ・ロバンソン/ベルナデット・ラフォンジャン=ポール・ベルモンド/ジャック・ダクミーヌ
フランス映画祭り7本目 ―シャブロル追悼 その2-
■感想
特集に戻って、今日はシャブロル追悼第2弾。
 
主人公のアンリは妻との離婚を考えていた
隣の貸家に住む若き芸術家レダと愛し合っていたのだ
けれど、離婚すれば、広大な土地も屋敷も失うことになる。どうしたものか
しかし、妻のテレーズはいよいよ鼻持ちならない。
アンリは口汚く テレーズをののしり、レダとの愛に踏み切ることを決めた
ところが、まもなく、自室でレダの絞死体が発見され・・・。
 

 
まずタイトルロールからヒッチコック『めまい』を想起させ「来た来た~!」(笑)
愛人が殺された というミステリーな一本ですが、
犯人探しに重きを置くタイプではなく、奇妙な作品です
登場人物は他に、アンリ夫妻の2人の子供、兄のリシャールと妹のエリザベート
リシャールはマザコン風 エリザベートの婚約者ラズロは下品でエキセントリック
奔放な色気を発し、庭職人や牛乳配達青年を刺激する女中など変なやつばっか・・
 
この中に犯人がいるわけだけど、
ま、、犯人はあっという間に明かされます。思ったとおりだしw
犯人探しを楽しむタイプではないのに、なんだろうなこの独特の味わいは。
とにかく登場人物の奇妙さ、陳腐さが面白いです

息子ちゃんなんて、しょっぱなから、なんだその歩き方は、ナンだその喋り方は(笑)
庭で母と話をするときにも、沼(?)のようなところを、グチャグチャと棒でつついてたりw
その意味なしの行動が面白すぎる
夫婦喧嘩のときに、アンリが妻に口汚くののしる、その台詞も半端じゃなく、しまいには笑うしかない
その後のアンリの妄想シーンにも笑えるし、このテイストは、妙に病みつきになりそうです。
 
ちなみに娘の恋人を演じたジャン=ポール・ベルモンドの役は
シャブロルのデビュー作『美しきセルジュ』2本目の『いとこ同士』でも起用された
ジャン=クロード・ブリアリが演じるはずだったらしいです
セレブな一家に似つかわしくない男。
彼が一家にどんな悪い影響を与えるのかと、観てる方はその存在に不穏な空気を感じてしまいます。
下品で無礼な男が、偽善の仮面を被った一家の毒を吐き出させる。皮肉で、重要な役どころでした。
 
殺人シーンを鏡に映った映像で見せるのも面白い。
こういうところが、監督のヒッチコキアンらしいところかな。