しまんちゅシネマ

映画ノート

愛する人


 
2009年(米)
監督:ロドリゴ・ガルシア
出演:ナオミ・ワッツアネット・ベニングケリー・ワシントン/ジミー・スミッツ/サミュエル・L・ジャクソン
 
■感想
プレオスカー特集 8本目
今日はインディペンデント・スピリット賞ナオミ・ワッツサミュエル・L・ジャクソンがそれぞれ
助演女優賞助演男優賞にノミネートされた『愛する人』を

いや~、これは良かったです。
偶然ですが、先日記事にした『アメリカの災難』も幼い時に養子にもらわれたベン・スティーラーが
産みの親を探すというストーリーでしたが、
本作も養子をテーマに親子の絆を描き挙げる究極のヒューマンドラマでした。
 
14歳で妊娠、出産。生まれた女の子を養子に出したカレン(アネット・ベニング)は
50歳になった今も、子供を自分で育てなかったことを悔やみ続け
心を開くことが出来ない女性。
 
その娘エリザベス(ナオミ・ワッツ)は養子先の父の死後、母親との折り合いが悪く、17歳で自立
弁護士として孤高に生きる女性に成長しています
しかしながら、彼女の中には自分を捨てた母への恨みがあり
彼女もまた、人と繋がりを持ちつことに恐れを感じる孤独な女性。
 
映画はそんな二人が苦悩の中、それぞれの出会いを通じ、
養子という事実に対峙していく姿を描きます。
 
厳しい表情のアネットが優しい微笑を取り戻し、
ナオミ・ワッツが自らの妊娠により母の気持ちを理解していく
母と娘、それぞれが互いの心を溶かしていく過程が丁寧に描かれていて
もう涙なくしては見れませんでした。
二人の演技も素晴らしい。

サミュエルさんはどこで出てくるかというと
ナオミ・ワッツの新しい職場の上司。
やがて愛し合うようになるという意外な役どころだけど
慈しむようにナオミを包み込む様子が、これまでとまるで違ったイメージでよかったです。
 
もう一組、まさに養子を貰おうとする黒人夫婦の姿を平行して描き
養子制度の難しさを見せると同時に、
血の繋がりよりも深いものもあるのだということも感じさせます。
こりゃまた丁寧すぎるなぁと思っていたら、最後にはそれぞれが見事に繋がっていく
その構成も見事でした。
 
養子という制度、日本ではあまり身近ではないですね。
というのも日本では堕胎がそれほど罪悪感なく行われるからで
そのあたりは宗教的な違いもあるのでしょう。
養子についての規則などが描かれているのも興味深いところでした。
これは女性向けの作品かもしれないけど
とにかく感動。お勧めです。
 
1/15からの公開です