しまんちゅシネマ

映画ノート

ソウル・キッチン



 
2009年(ドイツ/フランス/イタリア)
監督:ファティ・アキン
出演:アダム・ボウスドウコスモーリッツ・ブライブトロイビロル・ユーネル
 
■感想
プレオスカー特集 13本目
多民族の集う街ハンブルグを舞台に
レストラン存続の危機に立ち向かう主人公と、彼を取り巻く人々の姿を描くハートフルな作品です。
 
監督は『愛より強く』のファティ・アキン
去年のヴェネチア映画祭で審査員特別賞を受賞してから、ずっと楽しみにしてたけど
いや~、やっぱりこれいいわ。


主人公ジノスの営むレストラン「ソウル・キッチン」は
決して綺麗じゃないし、出すものもなんだかまずそうなんだけど
そこは移民たちがそれぞれに集う、気の置けない空間。
とはいえ、経営は思わしくなく税務局からは取立てがくるし、衛生局からは設備の改善を求められ
上海に行っちゃった恋人とは遠距離恋愛、おまけに腰まで痛めて最悪~。
ジノスはどうやってこの窮地を乗り切るのって話
 
なんだろうな、この楽しさは
主人公のジノスと、仮出所してきた弟(モーリッツ・ブライブトロイ)の
繰り広げるダメダメ、ドタバタぶりもおかしくてね
 
ジノスを演じるアダム・ボウスドウコギリシャ系の移民一家に育ち
実生活でも俳優の傍らレストランを経営するオーナーだとか。
しかも監督とは子供時代からの親友とあって、この映画のレストランに対する思い入れは
監督とも共有するものなんでしょうね。


腰を痛めた主人公に代わってキッチンを引き受ける天才シェフを演じるのが
なんと『愛より強く』のビロル・ユーネル
ごめん、気づかなかったわ(笑)ちょっと老けたw
彼の作る料理は、とうてい「ソウル・キッチン」の店ガラに合わないのだけど
妥協を知らない頑固ものぶりが楽しい。
しかも本物のシェフかと思うくらい見事な包丁さばきを見せてくれます。
 
この映画の一番のポイントは多国籍な音楽ですね、
とにかくサウンドが心地よく、レストランでかかる音楽にもノリノリ!
 
アキン監督の作品の中では『太陽に恋して』に雰囲気が一番近いかもだけど
もっとお馬鹿でファンキーでした。
だけど人と人の繋がりにホッコリ、ハートフルで、クリスマスにぴったりの映画でした。
 
ヨーロッパ映画賞で作品賞にノミネートされています
 
日本公開は1/22~