しまんちゅシネマ

映画ノート

わたしを離さないで


2010年(米)
監督:マーク・ロマネク
出演:キャリー・マリガンアンドリュー・ガーフィールドキーラ・ナイトレイシャーロット・ランプリング
 
■感想
ロマンス大会5本目
いやーー、これは記事を書きにくい
同じ寄宿学校で過ごしたキャシー、ルース、トミーの三人の恋と運命を描く作品・・
と、こう書いておきましょうか。
観る前はただの幼馴染の三角関係映画だと思っていたのですが
これは思わぬ驚きがあり、胸が張り裂けるほどに切ないお話でした。
 
監督はマーク・ロマネク
原作はカズオ・イシグロの小説です。
彼はイギリスでで執筆活動をする日本人作家ですね。
日の名残り』の原作もこの方。
 
先に書きましたが、この映画、非常に書きにくいのですが、なぜかというと
彼らの過ごした寄宿学校というのが、普通のそれと大きく違っていて
そこにこの映画の大きな秘密が隠されているからなんです。
公開前なのでネタばれはしないつもりだけど、
「寄宿舎にある秘密がある」ことを知って観た方が楽しめると思いますね。
勿論勘のいい方は、すぐに秘密の内容に気づくでしょう。
公式ページが立ち上げられ、トレーラーがあったので、
その範囲内を言及するとします。

キャシーにキャリー・マリガン ルースにキーラ・ナイトレイ トミーにアンドリュー・ガーフィールド
物心ついたころには彼らはへールシャムと呼ばれる寄宿学校で過ごしているのですが
不思議なことに家族の姿はどこにも登場しません。
そして学校からは、「あなたたちは特別な存在である」と教えられます。
ここで子供たちは、自分たちが「特別」であることを意識しながら
それを確認することに恐れを抱きながら幼少期を過ごします。

子供たちを特別視する大人の目、子供たちの畏れ
そこを描写してはいるのですが、原作ほど時間をかけられるはずもなくかなりあっさり。
なので寄宿舎の閉塞性や子供たちの心への踏み込みが浅いのが残念です。

今回DVDをゲットして再見してみると、「何か変だよね」というもやもやしたものを感じながら
「秘密」に近づく展開が面白い。
実は社会派な問題を含んだ作品でもあって、
ラストのキャシーの台詞には涙が溢れて仕方なかったです。
特別な存在だからこそ、3人の恋は複雑で刹那的。
繊細な音楽も素敵です。
胸の痛むラブストーリーでもありました。
 
日本公開は3/26~