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映画ノート

ゴシック


 
鬼才ケン・ラッセルの描くゴシック・ホラー。
フランケンシュタイン』の原作者メアリー・シェリーがフランケンシュタインを生み出すきっかけとなった一夜の物語です。
 
ゴシック (1986)アメリ
監督:ケン・ラッセル
出演:ガブリエル・バーンジュリアン・サンズナターシャ・リチャードソン
 
■感想
1816年のある日、スイス郊外にあるバイロン卿の“ディオダディの館”に、3人の珍客がやって来た。
詩人であるシェリーとその愛人メアリー、そしてメアリーの義理の妹クレア。
そしてその夜、この屋敷の侍医でもあるDrポリドリと共にささやかなディナー・パーティが開かれた。
幽霊話を始めるバロン卿
やがて彼は、自分たちでクリーチャーを作り出すことを提案するのだった。

 
ディオダディの館では、4人の作り出す幻想の世界が交錯するんですね。
それぞれのトラウマや欲望が形となり、ついには自分たちの作り出した幻想の世界から抜け出せなくなる・・
ま、とにかくその映像が印象的。卑猥な動きをする人形とかね
ダークでエログロなんだけど、不思議な美しさもあるんですなぁ。
 
ナターシャ・リチャードソンが演じるのが、後に『フランケンシュタイン』を世に出す小説家メアリー・シェリー。
彼女は愛人である詩人シェリーとの間に授かった子供を早産で亡くした過去を背負っている。
出来ることなら死んでしまったわが子をこの世に蘇らせたい。
そんな願望と怖れが、彼女のフランケンシュタインを生んだんだと、納得させられるお話でした。
 
面白いのは、彼らの死に様を幻想の中で見てること。
わけがわからん と思ったことにも、ちゃんと意味があったのだと
最後のナレーションで納得でした。
ま、 見てる間は その摩訶不思議な映像に「???」ではあるんですけどね(笑)
 
ガブリエル・バーンは、男色で近親相姦もあったらしい悪魔的なバロン卿がぴったり。
シェリーを演じたジュリアン・サンズは、その美しさが罪だという役どころ
リーアム・ニーソンの奥様だったナターシャは、2009年にスキー場の事故で亡くなりましたね。
 
ケン・ラッセルでしたが、変態ケンちゃんと言われる所以を垣間見ることのできる作品でした