しまんちゅシネマ

映画ノート

熟れた本能


cinema de しりとり 25回目 【う】

今日は『アリス・クリードの失踪』から繋がって、「う」で始まる映画
クリスティン・スコット・トーマスが不倫に溺れる妻を演じ、セザール賞にノミネートされた『熟れた本能』
昨年のフランス映画祭で上映された作品です。
 
熟れた本能 (2009) フランス
監督:カトリーヌ・コルシーニ
出演:クリスティン・スコット・トーマスセルジ・ロペスイヴァン・アタル
 
■感想
クリスティン・スコット・トーマス演じるセザンヌは、有能な医者を夫に持つ裕福な主婦。
ブルジョアな暮らしを退屈に感じ、子育てのために断念していた理学療法士の仕事を再開しようと
裏庭に仕事場を増設することになるのですが、
その工事にやってきたスペイン男イヴァン(セルジ・ロペス)と、瞬く間に恋に落ちてしまうんですね。
 
この作品、どのサイトを見ても、40歳を過ぎた人妻が本能を剥き出しにする官能ドラマなどと説明されてます。
この邦題を見ても、そっち路線ですよね。
 


確かに不倫相手と激しく体を重ねるシーンはあるものの、
官能的とは思えなかったなぁ。むしろ野獣的。
 
フランス語の原題は旅立ちといった意味らしく、
英題『LEAVING』に至っては、夫の元を去るといった意味合いが強いでしょう。
 
映画サイトのインタビューでクリスティンは
「彼女は、自分の回りのものを排除して、自分の感じたいように生きる人。
だから、彼女にとっては相手の男は誰でも良かったのよ。今の自分の環境からとりあえず逃げ出して、生身の人間であることを確かめたかっただけ」と語っています。
ここで、ブルジョアな暮らしの憂鬱や、夫の横暴がしっかり描かれていれば、
まだヒロインの思いを理解しやすかったのですが、その描写が少ない。
だから「本能に突き動かされる」ほどの恋愛感情を感じることも出来ず、
結果として、現状に満足できない主婦のたわごとに見えてしまったんですよね。
まぁ、監督とすれば、情念だけで突っ走ることの難しさを描こうとしたのでしょうけど
全てを不幸に巻き込むスザンヌに共感する部分はありませんでした。
 
クリスティンは同インタビューの中で、「監督とは意見が合わず、よく議論したが、
いつも押し負かされていた」と語っていて
演じたかった女性を演じられなかったのではないかなという気がします。
 
セザンヌを手放したくない夫(イヴァン・アタル)は、行くなと泣き、
それでも出て行く妻を追い詰めます。
情事の末の悲劇は、冒頭のシーンで予想されるのだけど
いい意味で(悪い意味かも)予想を裏切る展開で、これがやるせない。
 
不倫妻を演じさせたらピカイチのクリスティンだけど
個人的にはこれはいただけなかった。
DVDスルーやむなしと思っちゃいました。
 

次は「」から始まる映画だよん  (´⌒`;) また うーーっ

 
 
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