しまんちゅシネマ

映画ノート

『ウィズネイルと僕』と青春の終わり

 

cinema de しりとり 26回目 【う】

今日は『熟れた本能』から繋がって、またまた「う」で始まる映画
60年代の終焉を生きる若者の青春物語『ウィズネイルと僕』を観ました。
ウィズネイルと僕 (1988) イギリス
監督:ブルース・ロビンソン
出演:ポール・マッギャン/リチャード・E・グラント/リチャード・グリフィス
 
■感想
1969年、ロンドン北部カムデンタウン。5年越しの友人、ちょっとエキセントリックな売れない役者のウィズネイルと、同じく売れない役者の"僕"は、汚れもののたまった男二人暮らしのフラットの淀んだ空気や、イカれたドラッグラッグ仲間にうんざり。気分転換にウィズネイルの叔父モンティのコテージに出かけたが、食料も燃料もなく、思い描いていた"カントリーサイドでの休暇"にはほど遠い。おまけにゲイのモンティ叔父さんは、 "僕"に気があるようで…。
 
これは脚本も努める監督ブルース・ロビンソン自身の半自伝だそうです。

「僕」(ポール・マッギャン)は日々の暮らしにうんざりで、ウィズネイル(リチャード・E・グラント)の
アル中も度を増す一方。お金が欲しくても仕事がない。どうしたもんだ。
 
まぁ、そう言うと、どんより暗い映画を想像するかもだけど
どん底な暮らしぶりを、ゲイの叔父との絡みや、田舎の人々との交流などを、
独特のユーモアで描いていて、笑いどころも満載。
でもそんな二人に、やはり未来はないのよねぇ。

これ、イギリス英語が苦手な私にはちょっと難しく、2度観ないといけなかったのだけど
2度目に観ると、最初から切なさが募ってくる、
冒頭のキング・カーティス「A Whiter Shade of Pale」も痺れるし
ジミ・ヘンドリクス など音楽の使い方も最高なのです。
ひとつの青春が60年代という時代とともに終わりを告げる
ほろ苦い味わいがたまらない作品でした。
 
ちなみに、これイギリス映画のトップ25とか、カルト映画のランキングには必ず入ってくるようなのだけど
残念なことに、日本ではソフトになってないのね。
監督の次回作『The Rum Diary』が、ジョニー・デップ主演で今年の10月に公開されるとのことで、
監督ブルース・ロビンソンの名前を聞く機会も多くなるかも。
ついでに『ウィズネイルと僕』もソフト化されないかな。待ってるファンも多いはず。