しまんちゅシネマ

映画ノート

囚われの女


 
9月のラストはSMで締めます、、じゃなくて〆ます。 え?
 
囚われの女(1968) フランス/イタリア
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演:ローラン・テルジェフ/エリザベート・ウィネル
 
『恐怖の報酬』のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の遺作となってしまった一本。
男女の異常な愛の世界を覗いてみました。
 
芸術祭のあと、仕事仲間の芸術家ジルベールの妻ジョゼを自宅に誘ったスタンは
写真に興味をもったゼョゼに、スライドを上映してみせる。
だが、その中に女の裸体を写したSM写真が一枚混じっていた。
一笑にふすジョゼだったが、その写真のことがなぜか気になって仕方がない。
それはスタンのわなだった。
 
これは異常愛の世界に生きるスタン(ローラン・テルジェフ)と
SMに目覚めてしまうヒロイン ジョゼ(エリザベート・ウィネル)との
倒錯した愛の始まりを描く作品といったところでしょうか。
 
スタンはその直感でジョゼを見初め
ジョゼは自分が気づいてもいなかった、SMの扉を開けられてしまうんですね。
ただこの映画、過激なSMシーンを見せるわけではありませんで
それを期待してみると肩透かしとなるかもなので、警告しておきます。

映画で描かれるのは、ヒロインがSMに目覚めていく様子と
愛を追求することを恐れ悩む、男女の葛藤。
 

サディステックにジョゼの性癖を引き出すスタンは、一見まぎれもないSに見えて
根底にあるのは劣等感であったり
縛られた自分を空想し陶酔するジョゼはMに見えるのに、支配欲も持っているなど
そういったデリケートな心の中を、SM遊戯的な映像の中に見せていくところが鋭いのよねぇ。
 
先にも書いたけど過激なHシーンなどはないんです。
にも関わらず、映画全体には不思議なエロが漂うんですよね。
 
冒頭、ゴム製のリカちゃん風のお人形の服を脱がせ
クリンクリンとひっくり返したし、足元から押してやると
お人形はえも言われぬ卑猥な動きを見せる。
それをやってるのがスタンなんですが、ま、そんな映画です。
って、どんなんや
 
アートを感じる映像も見事です。
一見の価値ありですよ~