しまんちゅシネマ

映画ノート

サブマリン


 
東京国際映画祭が始まったようなので、そのラインナップから2本ばかりいっときます。
今日はイギリスからの出品『サブマリン
恋と家族の問題に悩む15歳の少年を主人公に描く、青春コメディです。
 
サブマリン(2010) イギリス
監督/脚本:リチャード・アイオアディ
出演:クレイグ・ロバーツ/ヤスミン・ペイジ/サリー・ホーキンスパディ・コンシダインノア・テイラー
 
主人公の15歳のオリヴァー(クレイグ・ロバーツ)は、自分の葬儀の様子を夢想するような
ちょっと変わった男の子。
彼は同級生のジョナルダ(ヤスミン・ペイジ)に興味を持ち、付き合い始める。
一方、家庭内では母親の元彼が近所に越してきたことから
両親は離婚の危機にあった。
オリヴァーは両親の離婚を防ぐことと、ジョナルダとHすることの二つの大きな目標を
達成すべく奮闘するが・・・
 

イギリス発の青春コメディです。
監督は本作が長編デビューとなるリチャード・アイオアディで脚本も手がけていますね。
まだ30代半ばの若い監督さんらしく、瑞々しい感性に彩られた作品でしたよ~。
 

とにかく、人生の一大事が一度にやってきたオリヴァー君の奮闘振りが見ものです。
彼は両親の離婚のことをジョナルダに相談しようとするのだけど
逆にジョナルダの母親が、癌で余命いくばくもないことを聞かされるんですね。
そもそもジョナルダの世界一のボーフレンドになることを目標に掲げてるオリヴァーだけど
もう、いっぱいいっぱいなんですよ。
彼には荷が重過ぎる。
 
タイトルのサブマリンというのは、海の奥深くに沈んでいくような、
主人公の心の状態を表したものだと思います。
映画は15歳らしい繊細な心の動きを、心象風景に乗せ
瑞々しく描くことに成功していて、監督の才能を感じるところ。
 

オリヴァーの両親を演じるのは、海洋学者である父親にノア・テイラー
大学の講義の中で、彼が言う、海底には光も届かず、水圧の高さに生き物は生息できないというくだりは
サブマリンというタイトルにリンクするところでしょうか。
母親役のサリー・ホーキンスは知的かつ上品な雰囲気で、これまでのイメージを払拭してくれました。
 
作品中、オリヴァーが別々のところで両親に訊くシーンがあります
「僕とパパどっちをとる?」
「僕とママどっちをとる?」
母親は、「勿論あなたよ、心配しないで」と答えるのだけど
父親は「ママだな。それからお前をどうするか考えることもできる」って答えるの。
そのあたりも実にリアル(笑)
 
主人公の雰囲気もあるのか、ハル・アシュビーの『ハロルドとモード』に似た感じもあって
これもカルト的な映画になっていくのかも、なんて思っちゃいます。

シュールで繊細で時にブラック。でも実に深くてピュアな青春映画でした。
いいですよ。
 
 
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