しまんちゅシネマ

映画ノート

明日を繋ぐために


今日も東京国際映画祭から
よりよい未来のために奮闘する移民の親子の姿を描くヒューマンドラマ『明日を繋ぐために』。
監督は『アバウト・ア・ボーイ』(02)のクリス・ワイツ
明日を繋ぐために(2010) アンリカ
監督:クリス・ワイツ
出演:デミアン・ビチル/ホセ・フリアン/ドロレス・エレディア/ホアキン・コシオ/カルロス・リナレス
 

舞台は東LA
メキシコからの不法移民カルロスは、裕福な白人家庭の庭師として働く毎日。
土曜日には一緒に手伝っていた息子も、最近ではサッカーだなんだと手伝おうとしない。
そんなある日、ボスからトラックを買わないかと持ちかけられる。
金がたまりメキシコに帰るから、道具や顧客リストも一緒にくれると言う。
事業を立ち上げるチャンスに心を動かされるが、カルロスは悩んでいた。
もしも警察に車を止められ、無免許で、しかも不法移民であることがバレたら・・
 
 
 
メキシコからの不法移民(多分)は私の住むテキサスにもわんさかいます。
芝刈りに来てもらってる彼もそうだろうな。
ピックアップトラックを運転してきてるけど、不法であれば当然免許証など取得出来ない。。
彼も無免許運転だろうか。
ま、気になってもそんなこと本人に訊こうとは思いません。
アメリカ人にしてみても、彼らの安い労働力に頼りある意味共存してる。
それに犯罪を犯すのでもなければ、あえて厳密にはしないのだと思う。
 
けれど、911以降 特に都会では不法移民に対しての取り締まりも強化されてるようで
彼らにとっては、目立たぬよう頭を低くして生きるのが安全策
 
そんな考えで頑張っているのが、この映画の主人公カルロスです。
ところが彼は、一人息子の将来のために、借金までしてトラックに手を出すんですね。
その結果・・
 



原題は『A Better Life』
息子に より良い未来をと願う父親の気持ちが、痛いほど心に響きます。
同じように都会に暮らす不法移民を描いた『扉をたたく人』(2007)を髣髴とさせる作品ですが
白人監督が白人を主人公に描いた『扉を~』に対し、本作はアメリカ人監督が
移民の視線で描いているところに「ん?」と思わないでもない。
 
仕事先から帰る途中、カルロスが助手席の窓から裕福な白人の暮らす家並みを眩しそうに見る
それが徐々に変化していき、カルロスの暮らす貧しい地域へと風景が変わっていくんですが
その辺り、白人の優越感を感じないでもないわけで。
 
けれども、本作は親子の心の交流に重きを置いていて
最初は負け犬的な父親に嫌悪感を持ち始めていた思春期の息子が
父親を認め、尊敬していく過程が丁寧に描かれているところが秀逸。
息子を思う主人公の演技にも大いに心を動かされました。
 
監督は『アメリカン・パイ』で監督デビューを果たしていて、ほかに『ニュームーン/トワイライト・サーガ』や
ライラの冒険~』などのも撮っていて意外だったけど
サスペンスフルな描き方も秀逸だったし、手堅いうまさを感じました。
ヒューマンドラマでよさを発揮する人かもです。
 
メキシコ人の催すロデオ大会などは、LAの新たな一面を知るツアーに参加した気分だったよ。

 
 
 
 イメージ 5 記事が参考になりましたらポチンとよろしく。ヽ(。・ω・)ノ゛☆ありがとう