しまんちゅシネマ

映画ノート

カルさんを偲んで『ブリューゲルの動く絵』


 
ブログのお友達 カルさんの突然の訃報に驚き、悲しみに沈んでいます。
 
あまり積極的な交流ではなかったのですけど
カルさんはアート系のヨーロッパ映画に造詣が深く
ハイセンスでいて、素朴なお人柄もうかがえる方でしたね。
 
カルさんが先月のツイートで公開を楽しみにしてらしたのが
この『ブリューゲルの動く絵』。
公開前に入院されてしまったことを、きっと残念に思っていたことでしょう。
今日はカルさんを思いながら、本作を観てみました。
今苦しみから開放されて、カルさんもどこかの映画館でご覧になってるかな。

 
ブリューゲルの動く絵(2011) ポーランドスウェーデン
監督:レフ・マイェフスキ
出演:ルトガー・ハウアーシャーロット・ランプリングマイケル・ヨーク
 
本作はフランドル絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲルの『十字架を担うキリスト』の世界を、
映画の中に完全再現したという、ちょっとかわった作品です。
 


映画の中でブリューゲルを演じるのが、ルトガー・ハウアー
彼は収集家(マイケル・ヨーク)の依頼を受け、
スペインの兵が暴挙をふるうフランドルの様子を描きます。
そうして出来上がるのが『十字架を担うキリスト』↓なんですね。
マリアを演じるのはシャーロット・ランプリング

 
映画の中で、絵に描かれた物語が実写で動き出すわけですが
とにかく色、陰影、遠近感が、絵画そのままに再現されているのが凄い。
バスキア』の原作として知られる監督のレフ・マイェフスキ
芸術家としても活躍するマルチな方のようで
本作の背景画も監督自身が手がけているそうな。
とにかく映画自体が完全にアートですよ。
 
風車や粉引き小屋に響く音など「音」の使い方も非常に印象的
その音の異様さに夫が驚いて、二階に駆け上がってきたほどでした(笑)
 
村人たちの暮らしや風俗、キリストの受難、魔女狩りなど
一枚の絵に詰め込んだこれらのものを、ブリューゲルが解説までしてくれるという
絵画好きにはたまらない一作です。
 
カルさんはきっとワクワクしてご覧になっただろうな。
 
カルさん、ヨーロッパ映画を観るときには、これからもカルさんを思い出し
記事にもお邪魔すると思います。
これまでありがとうございました。そしてこれからもよろしくです。
どうぞ安らかに・・。ご冥福を心からお祈りします。

*追記*
記事投稿後につく、【こんな記事もあります】にカルさんの記事が唯一ついています。
カルさんが展覧会に出品した時の紹介記事で、
同じ展覧会にブリューゲルの版画展があったのを紹介されてるんですね。
なんだか嬉しい偶然です。