しまんちゅシネマ

映画ノート

ソイレント・グリーン



ソイレント・グリーン
1973年(米)
原題:SOYLENT GREEN

監督:リチャード・フライシャー
出演:チャールトン・ヘストン
   エドワード・G・ロビンソン
   リー・テイラー=ヤング
   チャック・コナーズ
   ジョセフ・コットン
   ブロック・ピータース 
【ストーリー】
2022年、爆発的な人口増加と環境汚染に見舞われたニューヨーク。合成食品ソイレント・グリーンの製造会社社長が殺された事件を捜査する警官は、背後に食糧危機打開のための政府の陰謀がある事を知る……。



今月のキーワード「緑」

今日は2009年9/26付けの過去記事を移動、加筆しています。

50年後の近未来を描いたSFもの。
といっても映画の制作が73年ですから、この映画で描かれる2022年はわずか10年後に迫ってます。

まぁ10年でこうはならないだろうとは思うものの
土壌汚染のため食物も動物も消え去り、味気ない合成食品に頼らざるを得ない様子や
人口過密で、職にあぶれ、家も持たない人たちが教会で重なり合うように暮らしてるとこなんか 結構鋭いところはついてるよなぁという感じ。
ストーリーはチャールストン・ヘストン扮する刑事が、合成食品製造会社の社長が殺された事件を追う過程で、食料危機打開に関する政府の陰謀に気づいてしまうというもの。
とにかくその陰謀がブラックで恐かった。
実際の社会でも、もしかしたら・・・なんて、考えたら何も食べられなくなります。

今だと放射能汚染なんてことまで気になるから、
土に生えてる野菜は怖いから、ビタミン剤や補助食品ばかり摂取する世の中になる
なんてこともありえそうだし、
そうなると企業や政府の陰謀渦巻き、この映画と同じ状況に陥ることもあるんじゃ・・
と限りなく妄想してしまう。食の問題は年々リアルになってきますね。

タイトルのソイレント・グリーンはこの大企業が製造する人気の合成食品の呼び名でした。
途中、ソイレント・グリーンの供給が不足して暴動が起きた時に
パワーショベルが登場して、人をすくって処分しちゃうところにはびっくり。
シニカルな描写ですよね。

あと印象に残ったのは、「ホーム」と呼ばれる施設の存在。
ちょっとネタバレですが、人々は最期を迎えるためにこの「ホーム」に行くんですね。
子供がいないと自分の老後や最期というのはやはり気になるもので
自分の「死」を選ぶ権利があってもいいのではないか。こんな最期ならいいかと思っちゃったな。

前半が単調なのが残念ですが、後半のブラックな展開には引き込まれます。
陰謀に気づいてしまうチャールストン・ヘストンの姿は『猿の惑星』と重なりますね。
レタスやお肉を美味しそうに食べて泣いてしまうエドワード・G・ロビンソンの表情も印象的でした。
こんな世界にならないように願いたいものです。