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映画ノート

ブラジルから来た少年



ブラジルから来た少年
1978年(アメリカ)
原題:The Boys from Brazil

監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:グレゴリー・ペック、ジェームズ・メイソン、ユタ・ヘーゲン
   ローレンス・オリビエ

【ストーリー】
アウシュビッツ収容所で死の天使と恐れられた遺伝学者ジョセフ・メンゲレ。彼は各地に潜伏中のナチス残党とともに、65歳の公務員94人を殺害するという奇妙な計画を企てる。ナチス残党を追跡していたリーバーマンは、この事件を追う内に彼らの恐るべき本当の狙いを知る。(映画.comより)


最後の大物戦犯の一人と言われたナチスドイツの元看守が収容先の老人施設で亡くなったとのニュースを受け、
ナチス残党を扱った映画をいくつか思い出したので、この機に移動しときます。
まずはアメリカの良心とも言うべき、誠実なイメージのグレゴリー・ペック
ヒトラーを狂信するマッドサイエンティストを演じていてプチショックを受けた本作を。

何万人というユダヤ人の殺害に関わったナチス残党がまだ生きていたということ自体
驚きますが、彼が余生をどう生きたのかも問題ですよね。
罪の意識を持ちつつ、化石のごとく年老いていったのだろうか。

まぁ、困るのはこの映画みたいな残党ですよ。
だって彼らの目指すのはナチス復興なんだもの。(゚Д゚)ゴルァ!!

有能な遺伝子学者であったナチス残党メンゲレ(ペック)が、南米に潜伏しつつ
元SSなどを集め、虎視眈々とある陰謀の計画を進める。
その手段として利用するのがクローン技術ってんだから、
この映画が作られた当時にしては、かなりぶっ飛びなSFですよね。
タイトルをみると原題は『THE BOYS FROM BRAZIL』となっていて
少年は複数形というところもポイント。黒い髪にブルーの瞳の少年が不気味!

世界のユダヤ系の人はこの映画をどう観たでしょうね。
医学の発達により、クローン技術も十分実現可能な今
同じような陰謀から、存在してはならないクローンが静かにその時を待っている・・
なーんてこともありうるんじゃないかと、真から恐ろしい気持ちになったし
ラストのワンシーンには背筋が凍る思いでした。
ペックも怪演でしたが、ローレンス・オリビエが老齢のナチスハンターを演じているのも渋い。
サスペンスフルで面白い作品でした。
日本で劇場未公開ということですが、DVDにはなっています。