しまんちゅシネマ

映画ノート

ペイド・バック



ペイド・バック
2011年(アメリカ)
原題:The Debt
監督:ジョン・マッデン
出演:ヘレン・ミレンジェシカ・チャステインサム・ワーシントンマートン・コーカス/トム・ウィルキンソン
【ストーリー】
1965年、東ベルリンに潜むナチ戦犯ヴォーゲルを捕らえるため、モサドのエージョント、ステファン、デイビッド、レイチェルの3人が集結。それから30年、イスラエルで英雄となったレイチェルの業績を記す伝記が娘により出版され、30年間3人の胸の内に封印してきたある秘密が、3人の心を脅かし始める。


先日のナチ残党死亡のニュースを受けて、一番に思い出したのはこの作品でした。
まさかヘレン・ミレンが借りを返したんじゃないよね?なんちゃって


イスラエル映画『HaHov』のリメイクである本作は、
英雄として称えられた元モサドメンバーが
30年前に犯したミスに立ち向かい、ある「借り/debt」を清算するというお話。

ヘレン・ミレンが演じるのは、イスラエルの秘密情報機関モサドの元工作員レイチェル。
モサドについて漠然とした知識しかなく、
これを観たときにもちょっと入り込みにくかったのだけど
ナチス戦犯を探し裁判にもっていくというのも彼らの大きな任務なんですね。
レイチェルが与えられたのも、他のメンバー2人と協力し、
ナチス残党幹部で今は東ベルリンで町医者として暮らすヴォーゲルを捕らえるというもの。
しかしながら、30年前に終えたはずのこのミッションには、
3人しか知らない秘密が隠されていたのです。



スピルバーグの『ミュンヘン』に通じるところのある作品
こういうスパイものに共通するのは、工作活動におけるスリルでしょう。
若きレイチェルを演じるのは、『ツリー・オブ・ライフ』のジェシカ・チャステイン
4ヶ月訓練したというアクションも頑張っていて意外なところを見せてくれます。
他のメンバーにサム・ワーシントンマートン・コーカス
リーダー格で非情なマートン、優しさが弱さとなるサム・ワーシントン
レイチェルとの恋愛模様を絡めているのも見所。
時間軸が交錯し、最初は何のシーンかわからず「?」を残すものもあるのだけど
それらは、ハイライトすべきシーンとして後に繰り返されます。
同じ場面であるはずなのに異なった描写になってるところもミソで
徐々に真実に迫っていくという手法は面白かった。

終盤、ヘレン・ミレンが見せる執念に圧倒されますが
タイトルのdebtに、単に借りを返すというだけでない、
30年間秘め続けた心の負いの大きさも感じさせる作品でした。

これは昨年9月に劇場鑑賞したのだけど、今のところ日本公開の予定はないですね。
近日公開の『ヘルプ』『テイク・シェルター』でジェシカ・チャステイン
もう少しメジャーになると能性があるかしら。