しまんちゅシネマ

映画ノート

ウェイク・ウッド 蘇りの森

イースター(復活)のキーワードに相応しい作品を教えてもらったので、もう一本。
もしも、愛する子供を不慮の事故で亡くしたとしたら
誰もが、もう一度我が子の声を聞き、この腕に抱きたいと思うことでしょう。
けれど、それは叶わぬこと。
でも、この映画の夫婦のように「娘ちゃんを3日間だけ蘇らせることができるよん」
なんて言われたら、、あなたならどうしますか?


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ウェイク・ウッド 蘇りの森
2011年(イギリス・アイルランド
原題 Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel
監督:デヴィッド・キーティング
出演:
エイダン・ギレンエヴァ・バーシッスル、 ティモシー・スポール
エラ・コネリー



映画の舞台となるのはアイルランドの田舎町ウェイク・ウッド。
ここには、古くから「死んで一年になる死者を3日間だけ蘇らせる秘術」が伝承されている。
魂が最後の旅立ちをする前に、人々は愛するものに別れを告げる機会を得るのだ。

幼いアリスを不慮の事故で亡くし、哀しみに打ちひしがれるパトリック夫妻は
再生をかけやってきたこの町で、その秘術の存在を知ってしまった。
そんな馬鹿な・・・と思いながらも、娘に遭いたい気持ちに逆らえず蘇りを依頼する夫婦。
かくしてアリスは二人のもとに戻ってきたのだが・・・

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ハマー・フィルム製作によるゴシックホラーである本作は
何故蘇らせることができるのかなど、細かいことは説明しない代わりに
冒頭から家族三人の幸せな日常と、アリスを失った後の夫婦の虚無感が丁寧に描かれる。
観客は二人の哀しみの大きさを知っているからこそ、
アリスが戻ってきたときの幸福感に、ありえないほど共感し
同時に、この幸せを3日で終わらせることができるのかと不安を掻き立てられる。
案の定、夫婦は掟を破ろうとし、あってはいけない結果を導くことになるのだけど
誰が夫婦を責められるだろうか。
きっと誰もが同じことをするに違いない。
愛するものを失うことの哀しみを、とことん追求した作品とも言えるだろう。

蘇ったアリスは、死にとりつかれた不完全な魂としての狂気を放ち、ホラーを引き立てた。
アイルランドの田舎では、こんな秘術も存在するかもしれないと思わせる
村人たちの雰囲気もいい。
初盆には死者が帰ってくることをなんとなく信じている日本人には
このスーパーナチュラルな物語を受け入れる土台が、初めからあるのかもしれない。

なんて、たまにこんな口調になっちゃいますが、気にせずに('▽'*)ニパッ♪
哀しみをベースにしたホラーはいいですよね。