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映画ノート

イザベル・アジャーニ 『死への逃避行』

映画の國名作選V フランス映画未公開傑作選」企画のっかかり特集開始します。
まずは、今月お亡くなりになり、奇しくも追悼特集となってしまったクロード・ミレール監督作品から
イザベル・アジャーニ主演のフレンチ・ノアール『死への逃避行』を。
ちなみに本作は未公開ではないです。

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死への逃避行
1983年(フランス)
原題 Mortelle Randonne'e
監督:クロード・ミレール
出演:イザベル・アジャーニミシェル・セローギイ・マルシャンステファーヌ・オードランマーシャ・メリルサミー・フレイ


雇われ探偵のボーボワール(ニックネーム「タカの目」)(ミシェル・セロー)は、
幼子を連れ妻に去られて以来一人身の中年男。
彼は富豪夫妻の息子ポールのガールフレンド、カトリーヌ(イザベル・アジャーニ)の
素行調査を命じられるが、実は彼女は美貌を武器に、
金持ちに近づいては殺害を繰り返すシリアルキラーだった。
ところが「タカの目」は、いつしか女に娘の姿を重ね、仕事そっちのけの追跡を始める・・。

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美しいアジャーニが容姿をクルクルと変え、
犯罪を繰り返すシリアルキラーを演じているというだけでも見所だけど、
実は主役は、どちらかというと探偵を演じるセローでしょうね。

まずそのシニカルで妄執的なキャラクターが面白い。
そもそも彼は妻から送られてきた娘の集合写真を持ってはいるが、
12人の女の子たちのどの子が自分のマリーなのかさえ知らない。
元妻に電話で訊いても答えてくれないから。。
って、探偵なのに変なのって話だけど、それには理由があって
その背景がアジャーニへの異常な関心へと繋がっていくんですね。

主演の二人が向かう合うシーンはごくわずか。
けれども、最終的には、二人が出会うのは
悲しい魂が引き寄せた運命だったのかもしれないと思えてくる。

クロード・ミレール監督作品初体験でしたが
コミカルな描き方に始まって徐々にノワールな色合いを強めていく展開に
すっかり魅せられた一本でした。