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映画ノート

『コーマン帝国』に感動!

低予算の帝王、B級映画の帝王と呼ばれるロジャー・コーマンの人生を描くドキュメンタリー
コーマン帝国』観ました~。

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コーマン帝国
2011年(アメリカ)
原題 Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel
監督:アレックス・ステイプルトン
出演:ロジャー・コーマンジャック・ニコルソンマーティン・スコセッシロン・ハワードジョナサン・デミピーター・フォンダクエンティン・タランティーノデビッド・キャラダインピーター・ボグダノビッチジョン・セイルズイーライ・ロス
【ストーリー】
監督として約50本、プロデューサーとしては400本以上もの作品を世に送り出してきたコーマンは、「早く、安く、利益を出す」という理念のもと、奇抜なアイデアで作品を連発。ジャック・ニコルソンフランシス・フォード・コッポラロバート・デ・ニーロマーティン・スコセッシクエンティン・タランティーノらがコーマンの率いる低予算作品の現場から巣立っていった。そんなコーマン門下生らのエピソードや代表作のフッテージとともにコーマンの軌跡を追う。。(映画.comより)

血のバケツ』を観たときに、同時に『リトル・ショップ・オブ・ホラー』を撮ったという話を聞き、
低予算で合理的な仕事をするロジャー・コーマンという監督のことを知りました。
B級映画の帝王とも聞いていたので、私の中で勝手にケチな親父というイメージが膨らんでたのだけど
今回初めて拝見したお姿は、映画の中でも誰かが言ってるように英国の大学教授風で
篠沢教授を髣髴とさせるw穏やかで知的な老紳士なんですね。
こんなまじめな雰囲気で、B級モンスターものを撮ってたのかぁとまずビックリ。

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本ドキュメンタリーでは、ニコルソンやスコセッシをはじめとするそうそうたる門下生たちが
コーマンの映画作りやその姿勢について語ってくれています。
イージー・ライダー』からインディーズの世界が広がっていったことや
ジョーズ』や『スターウォーズ』がドライブイン・シアターを消すことになったことなど
コーマンの人生を知ることは、まさにアメリカの映画の歴史を知ることでした。

低予算にこだわったことで、大作と呼べる作品は残してないし
コーマン門下生も目指すものの違いからやがては彼の元を去ることになる。
それでもみんなコーマンを愛しているのが伝わってくるから、後半はもう涙。
コーマンを語りながら思わず泣いてしまうニコルソンにも胸が熱くなりました。

ちなみに本編で紹介されたB級作品はどれも面白そうでしたが
異質なところで、南部の黒人差別を描く『The Intruder』という62年の作品に興味を持ちました。
今では『ヘルプ~』などの南部ものもコメディタッチで描かれる時代になったけど
ムーブメント前の当時にはアンタッチャブルな題材で
コーマンも共産主義者呼ばわりされ、身の危険を感じることもあったのだとか。
IMDbで7.8という高スコアをたたき出す作品ではあるけれども、興行は散々。
もしもこれがヒットしていたら、コーマンの映画人生も違ったものになっていたかもですね。

コーマン帝国』は4/7から公開中。
アカデミー賞功労賞受賞のシーンでは、タラティーノらとともに
スタンディング・オベーションでコーマンの映画人生を称えたくなりますよ。
★★★★☆