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映画ノート

魂を揺さぶる兄弟対決 『ウォーリアー』

元ボクサーである父親のアルコール中毒が原因で離散していた兄弟が、
格闘技のビッグゲームにともに勝ち上がり、ついには兄弟で対戦する姿を描く作品です。


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ウォーリアー
2011年(アメリカ)
原題:Warrior
監督:ギャビン・オコナー
出演:ジョエル・エドガートン
トム・ハーディ
ジェニファー・モリソンフランク・グリロニック・ノルティ


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闘う兄弟を演じるのはトム・ハーディジョエル・エドガートン
父親のアルコール中毒が原因で離散した兄弟の
弟トミー(ハーディ)が数年ぶりに父(ニック・ノルティ)の元を訪ねたのは
元ボクサーの父に総合格闘技のトレーニングを依頼するため。
一方、高校教師の兄ブレンダン(エドガートン)も経済的な問題を抱え
一家を守るため、格闘技を闘うことを決心.
何の因果か、兄弟は高額賞金のかかった格闘技のトーナメントに
ともに挑むことになる・・・。という話。

中毒患者が人生を棒に振る話は多いけれど
この映画の家族も悲惨です。
一家離散の後、トミーは母親と暮らしていたけれど、その母は病に倒れた。
未成年のトミーに何ができたでしょう。
十分な医療を受けることもできず母親は死に、
トミーは心に闇を抱え、父と兄を激しく恨んだんですね。

トミーはその後海兵隊に入るけれど、あることで彼は隊を無断で離れます。
そして唯一自分の得意とする格闘技の世界に身を投じることになる。
ともすればサラリと流れてしまうこれらのエピソードは
トミーを知る重要なポイントでしょう。
救うべき命を守り、幼い子供の成長を支える。
父親が与えてくれなかったものを、彼は自分の手で実践しようとしている。

それは兄ブレンダンにしても同じこと
彼が家を手放すことを頑なに拒むのは
家が彼にとって家族の象徴であり、
命に換えてでも守らなければならないもの。
自分は父親の二の舞には絶対にならない!
そんな思いに支配されていたんだと思います。

さて、格闘技のことは何も知らない私ですが
ハーディ、エドガートンともに迫力のパフォーマンスを見せてくれます。
高校教師のブレンダンが、ギリギリのところで
奇跡的に勝ち上がっていく様子が堪らない。
一方のトミーは、圧倒的な強さで野獣のように敵をしとめ
試合ごとにカリスマ性を高めていく。
試合を重ねるごとに、2人ともにどっぷり惚れこんしまうから
お願いだから兄弟で戦を交えないで欲しいと祈る気持ちになるのだけど
勿論それでは映画にならないわけで
興奮マックスのところで、ついに兄弟対決を迎えることになるんですね~。

もうね、どっちにも無事でいて欲しいの。
でも2人は、守るべきもののために闘うのね。
そして彼らはいつしか本当の兄弟になっていく。
兄弟が兄弟であるために、親子が親子であるために
痛みを分かち合うことが必要だったんでしょう。
闘いの興奮と同時に、絆を取り戻していく親子の姿に最後は号泣ですよ。
試合を観戦する会場の描き方も秀逸。ブレンダンの学校関係の面々の興奮も最高で
臨場感と感動を味わうこともできます。

心を閉ざし、触るものを威嚇する一匹狼のようなトミー。
でもその裏には、家族の愛に飢えた孤独な男の素顔がありました。
そんなトミーを演じたハーディが愛しくてね。私はこれで彼に堕ちました。
最高にカッコいいハーディをぜひ見て欲しい。

日本公開はどうなってるのかな。
タランティーノは2011年のベスト9位に入れてますね。

こちらタラちゃんの2011年ベスト11
 1.「ミッドナイト・イン・パリ
 2.「猿の惑星:創世記ジェネシス)」
 3.「マネーボール
 4.「私が、生きる肌」
 5.「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」
 6.「ヤング≒アダルト
 7.「アタック・ザ・ブロック
 8.「Red State」
 9.「Warrior
 10.(タイ)「アーティスト」
 10.(タイ)「Our Idiot Brother」
 11.「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船