しまんちゅシネマ

映画ノート

重なりあう時

今月のキーワード、イタリア映画祭から
今日は2010年のイタリア映画祭出品の『重なりあう時』を。
『題名のない子守唄』のクセニア・ラパポルトヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞した作品です。



重なりあう時
2009年(イタリア)
原題:La doppia ora
監督:ジュゼッペ・カポトンディ
出演:クセニア・ラパポルト、フィリッポ・ティーミ、アントニオ・トゥルッポ、ガエターノ・ブルーノ

【ストーリー】
ホテルの清掃係として働くスロベニア移民のソニアと、元警察官で今はガードマンのグイドは、あるカップリング・パーティーで知り合い、すぐさま恋に落ちる。しかしある日、グイドがソニアを仕事場の別荘に誘い、そこで2人の人生を一転させる事件が起きてしまう……。(映画.comより)



おまけさんが紹介してくれてから、ずっと楽しみにしてた作品ですが
ようやくストリーミング配信されました。

出会い系のパーティで知り合ったソニア(クセニア・ラパポルト)と
グイド(フィリッポ・ティー)は、恋人同士になり、
グイドはソニアを仕事先の別荘に誘います。
主のいぬ間にランデブー・・のはずが、
強盗団に押し入られ、抵抗しようとしたグイドに強盗団が発砲。

画面は変わり、カメラはいつものようにホテルの清掃係として働くソニアを映し出しますが
ソニアの額には傷があり、グイドを貫いた弾が額に当たったことを知ります。
ソニアは昏睡から回復していたのですが、彼女にそのあたりの記憶がありません。
そんなソニアの周辺で奇妙なことが起こり始めます。
彼女は死んだはずのグイドの気配を身近に感じるようになるのです。
時計を見ると、それはいつも10時10分など、同じ数字が重なるとき。
ソニアに何が起きているのでしょう、、というお話。





同じ数字が重なる時に、死んだ恋人の気配を感じる。。と
どこかホラーな気配を漂わせつつ、ミステリータッチで謎を解いていく
ラブサスペンスな一本です。

これネタバレしては面白くないので、語りづらいのだけど
タイトルになっている「重なりあうとき」とは、
前述したように同じ数字が重なる時間のことを指すんですが
知り合って間もない頃、グイドが「流れ星を見て願い事をするように、
願い事をするとき」と語っており
時間の重なる時にグイドの声を聞き、気配を感じたことに、あぁと思うのです。

映画はそれに「希望」の扉に通じる鍵穴的な意味を持たせているのかなと思うと、
ヒロインの決断に切なさを感じるところだけど
運命を受け止める女の、したたかさと諦めが複雑な余韻を残す
大人なラブストーリーに仕上がっています。
グイドが警官だったことなど、設定も上手く生かされており
伏線の散りばめられたファンタジーなミステリーとしても楽しめました。
日本では今のところDVDになってませんね。

ちなみに、グイドを演じたフィリッポ・ティーミが
気合の入ったハヴィさんみたいで、濃いけど素敵なんですよ。
彼は『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』でムッソリーを演じてるようなので
早速チェックだ~



★★★★