しまんちゅシネマ

映画ノート

都会の孤独を映す『SHAME シェイム』

今月のキーワード『プロメテウス』から
今週は『プロメテウス』の主要キャストの出演作を観ていきます。
まずはアンドロイド役が楽しみなマイケル・ファスベンダーSHAME シェイム
なお、これまで使ってた
の表示はやめます。旧ブログからの記事も基本手を加えます。



SHAME シェイム
2011年(イギリス)
原題:Shame
監督:スティーブ・マックイーン
出演:マイケル・ファスベンダーキャリー・マリガンジェームズ・バッジ・デールニコール・ベハーリー
【ストーリー】
ニューヨークでエリートサラリーマンとして働くブランドンは、セックス依存症から抜け出せずにいた。そんなブランドンのもとに、恋愛依存症リストカット癖のある妹シシーが転がり込んでくる。(映画.comより)


新鋭スティーブ・マックィーン監督の2本目 
マイケル・ファスベンダーが演じるブランドンはセックス依存症の男。
それなら女の好っきやねん!なスケベ男かと思いきや、
人との繋がりを持つことを嫌い、相手にするのも通りすがりやコールガールのみ。
そんなブランドンの日常は、恋愛依存症の妹シシー(キャリー・マリガン)の登場によって狂い始める。



大都会ニューヨークにおいて、兄妹は唯一の身内であるにも係わらず
人の心を受け入れなくなったブランドンには、その繋がりがうざったい。
けれども妹を拒否すればするほど、彼は深く傷ついていく。
アイルランドからの移民である兄妹の幼い頃の暮らしについては語られないけれど、クラブでシシーが歌う『ニューヨーク、ニューヨーク』でその一端が垣間見える。
互いの虚無感に繋がる悲しみを誰よりも理解しているこの兄妹は、おそらくその源を共有する過去を持つのでしょう。
だからこそ離れられないふたり。



ブランドンがシシーの影を振り払うように、男娼や娼婦とのセックスに没頭する姿には悲壮感さえ漂いますね。
インターネットの発達で、もはや人々はわざわざ暖簾をくぐってエロビデオを借りる必要もなくなった。
セックス依存症は人に知られることなく、ますますその依存性を高めていき、その後ろめたさが人との繋がりを希薄にする。


いつもの通勤電車でのラストシーン、困惑とも憎悪ともつかぬ表情を見せるブランドン。
しかし、彼のその後は描かれない。
席を立つ? 一緒に電車を降りる?  その判断は観客に委ねられる。

ブランドンはどこにでもいる。都会の孤独を映す秀作でした。

★★★★☆