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映画ノート

『遊星からの物体X ファーストコンタクト』カーペンター版の前日譚

今月のキーワード前日譚から
今日はカーペンターの傑作SFホラー『遊星からの物体X』の前日譚となる本作を
DVDで再見しました。
これはもう完全にモンスター・パニック映画です(笑)



遊星からの物体X ファーストコンタクト
2011年(アメリカ)
原題:The Thing
監督:マティス・バン・ヘイニンゲン・Jr
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッドジョエル・エドガートンアドウェール・アキノエ=アグバエウルリッヒ・トムセントロンド・エスペン・サイムエリック・クリスチャン・オルセン
【ストーリー】
南極大陸の氷の中で太古の生命体が発見されるが、それは人間の体内に侵入して人間になりすまし、自らの生存のため人間同士を戦わせる性質をもった宇宙生命体だった。考古学者のケイトと調査隊の隊員たちは、誰が乗っ取られているのかもわからない状況に疑心をつのらせていくなか、生命体に襲われていく。(映画.comより)



カーペンター版をご覧になってる方は多いと思いますが、
あの映画は、南極大陸の雪原を走る犬を
ノルウェイ観測隊のヘリが追い、空から射撃するという冒頭から
いきなり衝撃を受けたものです。

その前日譚である本作は、ノルウェイ観測所で何が起きたのかを明かす作り。

人体に侵入し身体を乗っ取る謎の生命体により
メンバーたちが疑心を募らせていくというプロットはオリジナルと同じ。
「もしかして、こいつは人間じゃないのでは?」という恐怖心を煽りつつ
うわ!今の何だったの?!!的にクリーチャーをチラ見させたカーペンター版は
ホラーの極意を知り尽くした演出が最高でした。
ところが、こちらのクリーチャーは早々に全容を露にします。
しかも隊員たちの疑心の描き方も中途半端なままに
クリーチャーを火炎放射器で焼き尽くすシーンばかりが繰り返される
こうなると神経が麻痺して衝撃度も怖さも半減なんだよねぇ。

褒めるべくは、クリーチャー描写の潔さでしょうか(笑)
エクソシスト』しかり、ブリッジ姿で走るというのは不気味の極みだと思うんだけど
本作ではそれやっちゃいます。
しかもその後くっつき技まで披露してくれるから、そりゃもう凄い絵なんですよ
はっきり言って怖くはないけど一見の価値あり(笑)
厨房のシーンは『ジュラシック・パーク』のオマージュでしょうか。
描きすぎればどうしてもB級感は否めない。
そのあたりの許容の度合いで評価は別れるかもしれません。



主演は『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド
火炎放射器で容赦なく仲間を焼き尽くす女性ですが、その強さは考古学者としての
責任感に裏打ちされたものと思える描き方がいい。

カーペンター版で示される謎にきっちりと答えを与え
その上で、エイリアンの乗っ取られてるかを調べる手段など
新しいものを入れているのが、オリジナリティがあってよかった。
最後に、ヘリで犬を追うシーンで終わるのも嬉しいですよね。
30年ぶりに明かされる真実!と言ったところで、前日譚としては興味深く観ました。

日本公開は8/4~  
★★★☆