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映画ノート

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

今月はオスカー予想を絡めながら関連映画を紹介していきます。
まずは『ブロークバック・マウンテン』のアン・リーヤン・マーテルのベストセラー小説『パイの物語』を映画にした『ライフ・オブ・パイ』。
難破した貨物船から生き残り、救命艇で漂流を続ける一人のインド人少年とベンガル・タイガーの奇妙な関係を寓話的に描く作品です。




ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
2012年(アメリカ)
原題:
Life of Pi
監督:アン・リー
出演:
スライ・シャルマ、 イルファン・カーン、 アディル・フセイン、 タブー、 ジェラール・ドパルデュー
 レイフ・スポール



タイトルのパイというのはインドに暮らす少年の名前。
幼い頃からヒンズー、イスラム、キリストを崇め、神に興味を持つ少年です。
ある日家業である動物園をたたみカナダに移住するという両親とともに
動物たちを乗せ海の旅に出るのですが、途中激しい嵐に遭い船は難破してしまいます。
かろうじて救命艇に乗り移ることが出来たパイですが、
気づくとボートには他に同乗者、いや動物たちが。
最終的にパイはトラと共に大海を漂流することになるんですね。
映画は少年が何故生き延びることができたのかを描きます。




アン・リーも色んな映画を作る方ですが、今回も本当に意外な作品チョイスですよね。
しかもこれ3D映画なんですよ。
私は残念ながら時間の都合で2Dで観たんですが、途中で物凄く後悔しました。
というのも、夜の海の映像が驚くほどに美しく、宇宙空間を漂っているような錯覚に囚われるんですよ。3Dで観たらどんなに気持ちいいだろうと思わずにいられなかった。もう一回観ようかと思うほどです。

そんな映像もあってか、この映画にはどこか寓話的な不思議な感覚が付きまといます。
これ大人になったパイが漂流生活を自伝にしようと、作家を招きストーリーを語るところから始まるのだけど、終盤にきてちょっとしたサプライズがあるんですな。
フヘ?そ、そんな話だったの?って。

それに関してはちょっと感想書きにくいんですが。。
結局この映画が描くのは「神」なんでしょうね。
パイはトラがいなければ過酷なサバイバルを生き抜くことは出来なかったでしょう。
トラはパイにとっては希望を与え続ける神だったと。
幼い頃、神が人に試練を与えることに納得できなかったパイが
ついに神の本質を知ることになる、そんな映画だったと思います。
ちなみにトラの名前はリチャード・パーカーw

この映画、当初シャマランで撮る予定があったのだとか。
アン・リーで正解だったんじゃないでしょうか。
3000人の中から選ばれたという17歳の新人スライ・シャルマの自然な演技も素晴らしい。
壮大な自然と立ち向かうアドベンチャーにワクワクし、生きる力にひたすら感動するのですよ。
作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞など複数のカテゴリーでオスカーに絡んでもおかしくないですね。

日本公開は来年1/25~!

★★★★☆