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映画ノート

【映画】ヒトラーコード39

英国男優総選挙、ちょろちょろと聞こえてくる中からのカウントダウン
今日は9位入賞のエディ・レッドメイン君目当てで観た『ヒトラーコード39』
クリストファー・リー様とデヴィッド・テナントもいたので、今日は3人斬りです。


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ヒトラーコード39(2009
イギリス
原題:Glorious39 
監督/脚本:スティーヴン・ポリアコフ
出演:ロモーラ・ガライビル・ナイジュノー・テンプルクリストファー・リーエディ・レッドメイン

【あらすじ】
1939年、イギリス。下院議員の義父(ビル・ナイ)に育てられたアン(ロモーラ・ガライ)は広大な敷地内で立ち入り禁止とされている物置で2枚のレコードを発見する。音楽レコードにカムフラージュされたその二枚には、ナチスとの和平協定に反対する人間の暗殺を企てる男たちの密談が録音されていた。


【感想】
冒頭、一人の少年がアパートに二人の老人を訪ねます。
「家族の歴史について聞きたいことがあるので教えて欲しい」
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少年は老人二人の親戚にあたり、老人の一人ウォルター(クリストファー・リー)は、「知らないほうがいいこともある」と言いながらも、少年に語り始めます。

舞台かわって第二次世界大戦開戦前夜のイギリス。
イギリスはドイツがポーランドを侵攻したことを契機にドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まってしまいますが、当時はドイツを倒そうとする戦争支持派と、戦争は避けようとする派とに分かれていたんですね。
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主人公アンにロモーラ・ガライ
下院議員の養父アレクサンダー(ビル・ナイ)の愛情を受け美しく成長した女優のアンは、義理の弟ラルフ(エディ・レッドメイン)と妹(ジュノー・テンプル)とも仲良く何不自由のない暮らしをしている。
ところが偶然立ち入った倉庫から、あるレコードを持ちだしたことをきっかけに、アンの周りで人が殺され始めるのです。


邦題からナチスドイツの陰謀を描く作品と思ったらちょっと違った。
イギリス人がナチスとの戦争をどう考え、準備したかという話であり、映画はそれに巻き込まれた人々の姿をスリリングに描いています。

アンの周りで起きる乳児失踪事件や殺人、そして次第にアンに危険が迫るさまが非常に不気味。





以下少しネタバレになるので未見の方はご注意ください




 アンはレコードに弟ラルフの声が録音されていることに気づき、一連の事件のラルフの関与を疑うことになるんですが
その時点から、エディ・レッドメインの演技が変わっていくんです。
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何の変哲もない優し気な青年が、徐々に怖い存在になっていく過程の不気味なこと。
アンが周囲の誰も信じられなくなるさまは、『遊星からの物体X』にも通じるホラーですよ。
グロい表現は特別なく、政治思想からくる陰謀のお話なんですけどね。

エディ君はこの頃から抜群の演技力。美しい歌声も聞かせてくれますよ。
ジュノー・テンプルも目立たないけどうまい女優さんで、この兄妹が最高。
美しいアンが終盤に変貌し、汚い声で下品な言葉を吐くのは『エクソシスト』みたいでちょっと笑ったけどね。

お母さんの役も印象的です。
富豪の家の夫人でありながら、いつも庭仕事に精を出す彼女の姿に「あれ?」と思いながら、特には気に留めなかったのだけど、最後の最後になって、彼女のとるある重要な行動にハッとする。
彼女はあえて、政治的なことから離れた存在でいたい人だったんだろうな。

これはなかなか面白かった。
ロモーラ嬢の赤いドレスが美しかった。
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