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映画ノート

【映画】ブラッディ・ガン

 英国男優総選挙の結果が出たようです。
昨年同様、今年も厳戒態勢でTitterのTLが制御されてますね。
ひとしきり読者がSCREENを買ったところでオープンとなるのでしょう。
わが英国男優50人斬りももう少し継続し、結果とともにまだ出てない上位陣を斬っていきます。

今日は漏れ聞こえたところによると4位にランクインのアラン・リックマンさま。
まさかの訃報でしたが昨年より順位を上げた形。ファンの気合を感じる結果ですね。

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ブラッディ・ガン(1990
アメリカ/オーストラリア
原題:Quigley Down Under 
監督:サイモン・ウィンサー
脚本:ジョン・ヒル
出演:トム・セレック/アラン・リックマン/ローラ・サン・ジャコモ

オ―ストラリアが舞台の西部劇です。
長距離射撃の名手を求められ、オーストラリアにやってきたクィグリ―(トム・セレック
ところが、広告主である大牧場主マーストンの目的が、先住民のアボリジニの大虐殺だと知ったクィグリ―は、「やなこった」とばかり、マーストンを窓からたたき出す。そこから両者の対立が始まるという話です。

リックマン先生の西部劇は珍しいなと興味を持ったんですが、これは期待以上に面白かった。
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単純に見れば、セレック演じるクィグリ―が『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーよろしく、1km先の標的にも正確に命中させる射撃の腕を持ち、悪役の手下たちを撃破するアクションが見もので、クィグリ―を「ロイ」と呼び続けるクレイジー・コーラと呼ばれる、悲しき過去をもつ女性とのやり取りを楽しむ映画。
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大牧場主マーストンを演じるアラン・リックマンも、サディスティックで傲慢ではあるけれど、自身も早撃ちに自信があって最後にはクィグリ―へのリスペクトを感じさせる挑戦を見せてくれる。どこかストイック&ノーブルで憎々しいだけに終わらない複雑な悪役を作り上げているのがリックマン先生らしいところ。悪役がいいと映画が引きしまりますよね。
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オーストラリアの先住民を守るため命をかけるのがアメリカ人という設定は興味深い。
白人に迫害される先住民というと、いやでもアメリカの西部におけるアメリカン・インディアンとの戦いを思すわけで、リックマン演じるマーストンが「生まれる大陸を間違えた」と嘯く西部かぶれであることも意味があるでしょう。彼がアメリカの西部にいたら間違いなくインディアンを迫害していた。

マーストンがアボリジニを嫌う理由として、文明の発達や進化に無頓着なことをあげているけど、それは一方的な見方に過ぎないと思う。クィグリ―に投げ縄を学ぶ彼らの顔は好奇心にあふれていたしね。
マーストンの家で雇われていたアボリジニの男性が、マーストンの牧場を去るときに服を脱ぎ捨てるのも象徴的。
本来あるべき姿が彼らにとって一番自然。価値観はそれぞれで違うのです。

アクション・アドベンチャーとしてのエンタメ性も十分ですが、差別問題に関して思うところも多かった。
今の時代に西部劇を観てみるのもまた一興かもですね。


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