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映画ノート

デンゼル・ワシントン『フライト』





フライト
(2012)アメリ
原題:Flight
監督:ロバート・ゼメキス
出演:デンゼル・ワシントンドン・チードルケリー・ライリージョン・グッドマンブルース・グリーンウッド
メリッサ・レオ


旅客機で機長を務めるウィップ・ウィトカーは、高度3万フィートで起きた不慮のエンジントラブルからとっさの判断で不時着に成功し、多くの人命を救う。マスコミはその偉業を称え、一夜にして国民的英雄となったウィップだったが、血液中からアルコールが検出され……。

奇跡的な不時着を成功させ、大惨事となるはずだった飛行機事故から多くの人命を救うことになったパイロットのウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)。
ところが血中からアルコールが検出されたことから、一転、疑惑の人となってしまいます。
彼はヒーロー?それとも犯罪者?

監督は『キャスト・アウェイ』以来実写を監督するのは12年ぶりというロバート・ゼメキス
やっぱりゼメキスにはアニメやCGファンタジーでなく、実写の世界に帰ってきて欲しいですよ。




トラブル発生から不時着までの数分間の緊張と迫力はさすがゼメキスと思うところ。
しかし、この映画はパニックアクションものではなくて
その後のウィトカーの葛藤が主軸なわけですね。

映画の前半、ウィトカーが喫煙のために病院の非常階段に行き
マリファナ中毒で収容されたヒロイン(ケリー・ライリー)と出会うシーンがあります。
そこにやってくる一人の癌患者の台詞が、この映画のテーマでもあったと思います。
「自分が癌になったことも、ウィトカーが事故を経てヒロインに出会ったことも
神の意思によるもの。全ては神にコントロールされている。」

と書くと宗教くさくてピンと来ないし、癌患者のたわごとと軽く見過ごせるシーンなんですが、
これが意外にもあとに大きな意味を持ってくるのです。

神に象徴されるのは結局は人としての尊厳。
そう気づくとき、映画はとても爽快で感動的なものになりました。

適度にユーモアを交えているのもゼメキスらしさでしょう。
コメディ部門を担当するのはジョン・グッドマン。デンゼルとのタッグが痛快です。
ドン・チードルはウィトカーを無罪に導こうとする弁護士役。
登場人物中、ウィトカーのことを本当に考え、正しく導く者は誰なのかを見極めながら鑑賞するのもいいでしょう。

アカデミー賞脚本賞ノミネート
珍しく意思の弱いグレイゾーンの主人公を演じたデンゼル・ワシントンですが、最後にはきっちりカッコいいところを見せてくれます。アカデミー主演男優賞にノミネート

日本公開は3/1~

★★★★