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映画ノート

ヴェラ・ファーミガ初監督作品『ハイヤー・グラウンド』







 

ハイヤー・グラウンド(2010)アメリ

原題:Higher Ground
出演:ヴェラ・ファーミガ、ジョシュア・レオナード、ジョン・ホークス、ドナ・マーフィー




女優さんの初監督作品3本目は、ヴェラ・ファーミガのデビュー作。

両親の離婚後、高校生のコリーヌは学校で人気のバンドリーダーのイーサンと恋に落ち妊娠、結婚。
バンドツアーの道中で事故に遭い、生まれたばかりの子供が九死に一生を得たことで、二人は神に感謝した。

このことをきっかけに、信仰を篤くした夫婦は、いつしか福音派のコミュニティーに参加するようになるのですが、ヒロインは近づけそうで近づけない神の存在にストレスを感じ始め、説法を聞けば聞くほどに違和感を感じるようになるんですね。

映画は、信仰に迷い、悩みながらも、神の存在を模索するヒロイン、コリーヌの人生を描くもの。
ってわけでかなり宗教的なお話になってますね~。







大人になったコリーヌを演じるのはヴェラさん自身、
神に近づきたいと渇望するヒロインを熱演します。

ある時、信仰に篤く、神が降臨したかのように、意味不明の宗教言語を口にする親友アニカが、突然の病に襲われ、脳に障害を残すことになります。
それでもアニカの夫は「神に与えられた試練」とスピーチするのですが、それを聴くアニカの表情は怒りと落胆に満ちたもの。同じくコリーヌも宗教への迷いを決定的なものにする。
ファーミガの熱演もあり、宗教に迷い葛藤する姿はよく描かれていたと思います。
ただ、それでも神を求めて止まないヒロインの心情は私にはちょっと理解し難いものがあり、どこに行き着くんだろうと、迷える子羊状態で観ることになりました。

原作者が共同脚本も担当していて、おそらくは原作小説に忠実なんだろうとは思うものの
映画にするときには、ポイントを絞らないと、結局どんな映画だかわかりにくいと感じました。
福音派に違和感を募らせていくという表現は、ある意味チャレンジャーですけどね。
映像も美しく、ドラマの見せ方は悪くないので、宗教的でないものだと面白かったかも。

ちなみに、10代のコリーヌを演じた子がヴェラさんそっくりで、よく似た女優を見つけたなと思ったら、なんとヴェラの実の妹だそうで、清純な感じが好印象でした。