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映画ノート

ライアン・ゴズリング『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』




今日はエバート氏塗りつぶしの一本。
ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ新作です。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (2012)アメリ
原題:The Place Beyond the Pines
監督:デレク・シアンフランス
出演:ライアン・ゴズリングブラッドリー・クーパーエヴァ・メンデスレイ・リオッタベン・メンデルソーンローズ・バーンマハーシャラ・アリ
日本公開:5/25~

ゴズリング演じるルークは各地を転々としながら、祭りのショーで危険なバイクスタントを生業とする男。
ある時、ルークはかつての恋人ロミーナと再会。ロミーナ(エヴァ・メンデス)が自分の子供を産み育てていたことを知り、その地に留まり、子供を養うことを申し出る。
小さな修理工場で仕事を得るルークは、やがて銀行強盗に手を染めることに・・



銀行強盗の後、バイクを使って逃走するシーンの大半が長回しで撮られ迫力です。
しかしある失敗から、逃走中、新米警官のエイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追われることに。
映画は、ルークとエイヴリーの人生を絡ませながら、二世代に渡る「父と子」の関係を描くもの。



ルークの背景は語られず、孤独な天才ライダーという設定が『ドライヴ』に似てますね。
またしてもその腕前を犯罪に生かすことになるのだけど、今回は「我が子のため」であるところが
ようやく得た小さな幸せにすがるようで切ない。
後半はブラッドリー演じる警官エイヴリーの人生にシフト
彼も正義感に溢れ、野心家である一方、心の闇を抱え込むことになる男。
ルークの相棒を演じるベン・メンデルソーンしかり登場人物は善と悪の両方を持ち合わせている。
それが人間だという監督の主張ですね。
警官仲間のレイ・リオッタが醸しだす緊張感は半端なく、サスペンスを盛り上げてくれました。


正直、子供の世代が描かれる後半は助長に感じてしまったのだけど、
終わってみれば、哀しみのループを閉じるには必要だったんだなと思う。
一枚の写真が魔法のように長い間のわだかまりを溶かし
エンドロールになってジワジワと感動がこみ上げてくる作品でした。

ちなみにタイトルのThe Place Beyond the Pinesは舞台となるニューヨークのスケネクタデイが
モホーク語で「松平原の向こう」であることから。
今のところ(アカデミー関連作品を除いて)今年一番ですね。
ゴズリングとメンデルソーンのワンちゃんダンスシーンは、ひと時心が和み最高でした!(笑)