トゥ・ザ・ワンダー
トゥ・ザ・ワンダー(2012)アメリカ
原題:To the Wonder
監督:テレンス・マリック
出演:ベン・アフレック/オルガ・キュリレンコ/レイチェル・マクアダムス/ハビエル・バルデム
日本公開:8/9
パリで知り合ったアメリカ人ニール(ベン・アフレック)とフランス女性マレーナ(オルガ・キュリレンコ)は、互いに愛し合うようになり、マレーナは10歳の娘を連れ、ニールとともにオクラホマに暮らし始める。しかし、2人の間に次第にすれ違いが生じ・・
テレンス・マリック監督の新作です。
パリ。冒頭から小鳥のように戯れるニールとマレーナ
マリック監督の映像は光と影を絶妙に操り、さまざまな角度から愛し合う2人を映し出す。
でも不思議なことに、彼らの顔はフレームアウトして見えないことが多いんですね。
特にベンアフ演じるニールの顔をあまり映さないことに違和感を感じます。
まもなく2人はパリの観光名所でもあるモンサン・ミシェルに移動し
驚愕(wonder)と呼ばれる院内に足を踏み入れる。
タイトルであるTo the Wonder という言葉がここで出てくるのですが
永遠の愛を誓う瞬間、その愛は破滅に向かうこともある
予測不能な奇跡に向かうさまを、To the Wonder としたのかなと勝手に解釈。
異国の地で生きることになるマレーナにとって、自分を闇から救い出してくれたニールは唯一無二の存在。
ところが、最初に感じた一抹の不安の意味を明かすかのように、もともと言葉数の少ないニールがますます無口になり、2人の間に距離が生じ始める・・・
不安に駆られ揺れ動くマレーナを、オルガ嬢が繊細かつ切なく演じていました。
まずは映像の美しさに圧倒されます。
都会的なパリの街と、自然を集めたオクラホマの風景。
マジックアワーに映し出される木々や空
こういうの見ちゃうと、カメラを持って外に出たくなる。
入江を歩く2人の足元をサラサラとこぼれる潮の流れなど
流れる水を多く見せているのも、どこから来てどこに行くのかわからない愛の行方を
象徴しているがごとく。
一度は自分の中にあったと思った神の存在を失い苦悩する神父を演じるハビエル・バルデムによって、永遠なる存在などないのだと思い知る。
ニールの渇望がただの自己チューに終わらないのも、「自分を偽ることの無意味さ」を説く神父の存在によるところが大きい。
ニールが想いを寄せることになる同級生ジェーンにレイチェル・マクアダムス。
同じ土地に住み、同じものを見て、同じ経験をしたもの同士に漂う安心感
そんなものをベンアフと2人で醸し出していました。
愛はうつろいゆくもの というのを
荘厳なクラシック音楽と美しい映像で描く作品です。
前作『ツリー・オブ・ライフ』のような突飛な映像がないのもいい(笑)
「えっと、、これは誰の・・」などと考えてしまうところもあるけれど
余計な説明はなくていいかとも思えてしまう。
もはや、映画とはまた違う、独自のジャンルに分類したほうがいいかも。
切ないけれど、彼らとともにこの世界に漂っていたくなるような
一種、中毒性のある映像体験でした。
テレンス・マリック監督の新作です。
パリ。冒頭から小鳥のように戯れるニールとマレーナ
マリック監督の映像は光と影を絶妙に操り、さまざまな角度から愛し合う2人を映し出す。
でも不思議なことに、彼らの顔はフレームアウトして見えないことが多いんですね。
特にベンアフ演じるニールの顔をあまり映さないことに違和感を感じます。
まもなく2人はパリの観光名所でもあるモンサン・ミシェルに移動し
驚愕(wonder)と呼ばれる院内に足を踏み入れる。
タイトルであるTo the Wonder という言葉がここで出てくるのですが
永遠の愛を誓う瞬間、その愛は破滅に向かうこともある
予測不能な奇跡に向かうさまを、To the Wonder としたのかなと勝手に解釈。
異国の地で生きることになるマレーナにとって、自分を闇から救い出してくれたニールは唯一無二の存在。
ところが、最初に感じた一抹の不安の意味を明かすかのように、もともと言葉数の少ないニールがますます無口になり、2人の間に距離が生じ始める・・・
不安に駆られ揺れ動くマレーナを、オルガ嬢が繊細かつ切なく演じていました。
まずは映像の美しさに圧倒されます。
都会的なパリの街と、自然を集めたオクラホマの風景。
マジックアワーに映し出される木々や空
こういうの見ちゃうと、カメラを持って外に出たくなる。
入江を歩く2人の足元をサラサラとこぼれる潮の流れなど
流れる水を多く見せているのも、どこから来てどこに行くのかわからない愛の行方を
象徴しているがごとく。
一度は自分の中にあったと思った神の存在を失い苦悩する神父を演じるハビエル・バルデムによって、永遠なる存在などないのだと思い知る。
ニールの渇望がただの自己チューに終わらないのも、「自分を偽ることの無意味さ」を説く神父の存在によるところが大きい。
ニールが想いを寄せることになる同級生ジェーンにレイチェル・マクアダムス。
同じ土地に住み、同じものを見て、同じ経験をしたもの同士に漂う安心感
そんなものをベンアフと2人で醸し出していました。
愛はうつろいゆくもの というのを
荘厳なクラシック音楽と美しい映像で描く作品です。
前作『ツリー・オブ・ライフ』のような突飛な映像がないのもいい(笑)
「えっと、、これは誰の・・」などと考えてしまうところもあるけれど
余計な説明はなくていいかとも思えてしまう。
もはや、映画とはまた違う、独自のジャンルに分類したほうがいいかも。
切ないけれど、彼らとともにこの世界に漂っていたくなるような
一種、中毒性のある映像体験でした。
トラックバック一覧
1. トゥ・ザ・ワンダー
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- 『トゥ・ザ・ワンダー』 (2012) フランスの観光名所、モン・サン・ミシェル。 アメリカ人のニール(ベン・アフレック)とフランス人のマリーナ(オルガ・キュリレンコ)は恋に落ち、ふたりは永遠の愛を確信する。 その後マリーナの連れ子とと
2. 「トゥ・ザ・ワンダー」(2012)
- [choroねえさんの「シネマ・ノート」]
- August 14, 2013 22:48
- 鑑賞しながら、 マリック監督 の作品のカラーを思い出していましたが、視覚聴覚から感覚的に捉える映画というのでしょうか。絵画というよりバレエなどせりふのないパフォーマンスアートに近いかもしれません。私は「天国の日々」は未見ですが、最初に観た 「ニューワールド」
3. 『トゥ・ザ・ワンダー』
- [京の昼寝〜♪]
- August 23, 2013 12:48
- □作品オフィシャルサイト 「トゥ・ザ・ワンダー」 □監督・脚本 テレンス・マリック□キャスト ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、ハビエル・バルデム■鑑賞日 8月12日(月)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★
4. トゥ・ザ・ワンダー/TO THE WONDER
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- August 24, 2013 09:55
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7. トゥ・ザ・ワンダー
- [いやいやえん]
- April 23, 2014 09:15
- 永遠を誓った、愛は色褪せて行く。流れる風景を切り取っていくような映像は、記憶となりやがて永遠に生き続ける。 哲学的な語りとツギハギ映像美によって詩のようになった作品で、愛とは何か、永遠とは何かを問い続ける。 モンサンミシェルで出会い深く愛しあったニー