しまんちゅシネマ

映画ノート

手錠のまゝの脱獄




『魔女と呼ばれた少女』から、「逃亡」繋がりで『手錠のまの脱獄』です。
手錠のまゝの脱獄(1958)アメリ
原題:The Defiant Ones
監督:スタンリー・クレイマー
出演:トニー・カーティスシドニー・ポワチエ、セオドア・バイケル、 チャールズ・マックグロー
カーラ・ウィリアムズ、 ロン・チェイニー・Jr



「逃亡、逃走映画」のお勧めは?とツィートして、じゅりさんにお返事いただいた中の一本
評判どうり素晴らしい作品でした。じゅりさんありがとう!!

トニー・カーティス演じるジョンとシドニー・ポワチエ演じるカレン
同じ刑務所に収容された犯罪者同士が、移送車の事故により鎖に繋がれたまま逃走
犬猿の仲だった二人が、いつしか友情で結ばれていくという作品。

ありがち?と思っていたけど、この時代背景が味噌でしたね。
移民者のカーティス、黒人のポワチエそれぞれが
時代に翻弄され、犯罪者に落ちている実態がやるせなく
あっという間に二人に感情移入してました。



手錠を繋いだ状態で粘土質の穴から脱出するシーンや
天井から落ちるシーンではCGや3Dなどないからこそ、
リアルな痛みが伝わりそれだけでスリリング。

この時代、黒人はほぼ人間扱いされてないというのは
美人なのに恐ろしい母子家庭の母親とか、食べ物欲しさで押し入った村で
ふたりを縛り上げる村人たちの会話からもよく分かります。

でも映画の核はそこじゃない。
数々の試練を通し、友情という言葉では言い尽くせない
人と人の繋がり、信頼関係が生まれていく様子がなんとも心地よいんですよねぇ。
手錠を外しても、二人は目に見えない鎖で繋がってるいることに深く感動



黒人含む逃走犯など、虫けらのように殺しても当然のような時代にあって
マックス保安官のような人も描かれているのが嬉しい。
保安官の人道性があってこそ、最後のポワチエの歌に清々しさを感じることができるんですよね。
絶品でした。

次はもう一本「逃亡」でつなげます。