しまんちゅシネマ

映画ノート

ベネディクト・カンバーバッチ『僕が星になるまえに』




10月公開作品を数本
まずは、ベネディクト・カンバーバッチ主演のイギリス映画『僕が星になるまえに』
僕が星になるまえに(2010)イギリス
原題:Third Star
監督:ハッティ・ダルトン
出演:トム・バーク、 ベネディクト・カンバーバッチ、 JJ・フィールド、 アダム・ロバートソン
日本公開:2013/10/26
カンバーバッチが末期がんの青年を演じ、初主演を果した2010年の作品です。

ジェームズは末期がんに冒された青年。
29歳の誕生日を迎えた彼は、「世界で一番好きな場所」に連れて行って欲しいと3人の親友に頼みます。
それはジェームズにとって、ある目的を達成する旅でもあり・・・・。




目的地のファンダンドル・ベイへの道は険しく、車は使えない。
腕時計を無くすことになるシークエンスは『イージーライダー』へのオマージュでしょうか。
彼らは文明から離れたところで、素の人間らしさと向かい合うことになるのです。

男4人の旅というと『ハングオーバー』を思い出します。
本作も、監督は悲喜劇と位置づけてるらしく、少しばかり笑える部分がありました。

でも10月のウェールズが舞台とあって、突き抜ける明るさとは無縁。
余命いくばくもない友を連れての旅は友たちにストレスを与え、いさかいも起きる。
それでも、その諍いの中から、男たちは自分たちのあるべき姿を見つめていくとう描き方が秀逸です。

寝泊りもテントってことで、『ブロークバックマウンテン』のオマージュには笑うけどw
雨の激しく降る夜のシーンなど、おそらくは「予期せぬ」天候を逆手に取った演出と映像が印象に残ります。
やがて目的とする地にたどり着く瞬間の爽快感。
けれど・・・

体重を落とし、青白い顔色で激痛に耐えるジェームズを演じたカンバーバッチ。
彼は「最期まで人として生きる」とは、どういうことかを教えてくれます。

ただ、誰に向けた映画なのかと思うところもあるんですよね。
勿論重病を患う本人も、周囲の人も感じるところは大きいだろうし、正直な作品だと思うのだけど個人的には肯定できず、戸惑わずにいられない。
ある意味女性監督ならではの潔さを感じますね。

それでも、彼らの決断と友情に心動かされ
最後は言葉にならないある種の感動を覚えました。
痛切で重い映画だけど、死を通し生きることの価値を見出す映画でもあるでしょうね。

マイルズ役のJ・J・フィールドがロキとジュード・ロウを掛け合わせた(牛かw)ような風貌で超好みだったわ。