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映画ノート

危険なプロット




フランソワ・オゾン監督の新作『危険なプロット』は、舞台劇をもとにしたコメディ・サスペンスです。
危険なプロット(2012)フランス
英題:In The House
監督:フランソワ・オゾン
出演:ファブリス・ルキーニクリスティン・スコット・トーマスエマニュエル・セニエエルンスト・ウンハウアー、 ドゥニ・メノーシェ、 バスティアン・ウゲット
日本公開:2013/10/19
小説家を目指しながらも果せず、しがない国語教師に甘んじるジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒たちのくだらぬ作文の添削に辟易していた、ところがある日、提出された課題の中から、才能を感じる一作をみつける。
それは生徒クロードが同級生ラファの家で見聞きしたことが書かれているのだが、続きが気になったジェルマンは、クロードに続きを提出させる。やがて小説の書き方を教える課外授業へと発展し、物語の展開を模索する二人だったが。。。



In the Houseという原題はクロードが家の中で起きることのみに興味を持ち、小説の題材にするところからきています。
国語教師が生徒の作文の指導をする。
これだけのことが危険をはらむことになるのは、小説にのめり込む二人が、現実と虚実の境をあいまいにしていくから。
絵に描いたような幸せ家族の歪がクロードによって暴かれ、やがて小説がその歪を広げる役割を果すことになる様子がスリリングで、どこまでいくんだ~とハラハラしながらも巧さに唸ります。
途中思わず「おもろ~」と叫んじゃいましたから。




クロードを演じた エルンスト・ウハウハ。。もとい、エルンスト・ウンハウアーがいいですね。
喜びや優越感を表現するときに、はにかむように口元を上げるのが印象的。
美しいお顔に時々邪悪さを覗かせ、大人を翻弄するしたたかさを見せるものの
その基盤にある寂しさや子供らしさも描かれるため、彼を嫌いにはなれない。

色んな崩壊が描かれる一方で、再生を垣間見せるところが優しく
『裏窓』を思い出すラストシーンにもうまさを感じます。
ま、一方で、新しい形のBL?と、オゾン監督らしさに苦笑いするやらホッコリするやら(笑)

シナリオの持つ力に驚き、物語に翻弄されることに快感を感じる知的なエンターテインメントでした。