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映画ノート

【映画】 キャプテン・フィリップス




今日はポール・グリーングラス監督の『キャプテン・フィリップス
トム・ハンクス主演で、2009年に起こった海賊船による貨物船人質事件を描く
実話ベースのサスペンスドラマです。
キャプテン・フィリップス(2013)アメリ
原題:Captain Phillips
監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクスキャサリン・キーナー
日本公開:2013/11/29
開催中のTIFFのオープニングを飾った作品ですね。 
早くから予告編が流れていて、正直もう観なくてもいいんじゃないかという気になってたけど
いやこれは観て正解だった。

実際に人質となった船長リチャード・フィリップ氏が書いた小説を原作とする本作、
海賊との攻防にドキドキし、救出劇に手に汗握る極上のスリラーに仕上がっています。

緊迫の中にあって、キャプテンとパイレーツの青年との間に小さな絆が生まれるのがいいんですよね。
人は人の親切を忘れないのだという描き方に癒されます。
思えばパイレーツにならざるを得ない若者の切羽詰った思いも悲しい。
だからこそ、海軍特殊部隊ネイビーシールズの仕事の鮮やかさには感心しながらも、
もやもやしたものが残ってしまう。
観客に考える余地を与えるのも、ポール・グリーングラス監督のうまさでしょう。
ラストシーンにはとめどなく涙が出ました。




キャプテンは20人のクルーの安全と引き換えに自ら人質となることを申し出たわけで
言ってみれば、ヒーロー。
しかし、あるインタビュー動画によると、氏はソマリア海域のパイレーツの存在を危惧する団体から
航路の変更を求めるEメールを受け取っていながら、それに従わなかったとのこと。
もしも指示に従っっていたら、事件は起きなかったのではないか。
原作は読んでないので分からないのだけど、少なくともポールグラス監督あるいはトム・ハンクスは、
あの涙に、「あるべき」後悔の念も表現したのではないかな。

体を張ったトム・ハンクスの演技も申し分なし。
パイレーツのリーダーを演じた無名の役者 バーカッド・アブディの演技もよかった。
見ごたえのある一本でした。

ちなみに、一緒に観に行った友人は、揺れるカメラ映像に撃沈しあえなく退場。
酔い安い方はご注意ください。
結局私は一人寂しく貸切で観たのでした。やっぱりこの映画館潰れるな(汗)