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映画ノート

シェルター




リメイク版『キャリー』を観て、あらためて神経症的な役柄のはまるジュリアン・ムーアを面白いと思い、彼女の他の作品も観たくなりました。
今日は、ポスターと6つの魂『6 Souls』とした原題が気になった『シェルター』を観ました。
スウェーデンの新鋭マンス・マーリンドビョルン・ステインが共同監督したスーパーナチュラル・スリラーです。
シェルター(2009)アメリ
原題:Shelter(6 Souls)
監督:マンス・マーリンド/ビョルン・ステイン
出演:ジュリアン・ムーア/ジョナサン・リース=マイヤーズ/ジェフリー・デマン/フランセス・コンロイ/ネイト・コードリー
日本公開:2010/3・27

 ジュリアン・ムーア演じるカーラは犯罪者の精神を分析し犯罪捜査に協力する精神分析医。彼女は数年前に夫を強盗に殺されたという過去があり、精神異常を装う犯罪者を許しません。多重人格にも否定的なカーラですが、父に紹介された解離性同一性障害の患者デイヴィッド(ジョナサン・リース=マイヤーズ)を診察中、別人格が現れるのを目撃することとなり戸惑います。デイヴィッドに現れた人格の過去を調べるうち、それらはいづれも殺人事件の被害者であることが分かってくる、同時にカーラ自身も危険に巻き込まれることになる。。という話。

 多重人格者の深層心理に迫るスリラーかと思いきや、ちょっとばかり勝手が違い、世間ではあまり評判よくないようだけど、面白く見ちゃいました。



 多重人格に否定的なカーラは、患者の過去のトラウマを探ろうとします。最初はカーラとともに、懐疑的にその過程を見守り、どんなトリックだと興味を魅かれるんですけど、次第にそれは精神医学の域をはるかに超えたものであることに気づき、ゾっとするんですわ。

 例えば別人格の時には色盲検査など肉体的なデータが変わってしまう。勿論喋り方や雰囲気なども変わっていて、そのあたりスリリングな演出が秀逸で、ジョナサン・リース=マイヤーズもなかなかの熱演でした。

 この映画こちらでは『6 Souls』というタイトルが付けられてるんですが、日本のデータでは原題ともに『シェルター』なんですね。タイトルどおり映画では6つの魂が描かれるんですが、シェルターというのは、人間の邪悪な魂を隔離する、あるいは封じ込める存在として描かれていて、それが本作の超常現象に繋がるキーワードでした。

 最初に書いたようにこれ世間の評判がよくない。特にアメリカでの評判が悪い。
「信仰心を無くしたものは悪魔に魅入られる」という描き方は、「だから神を信じなさい」という逆説的な教えもあるのかもしれないけれど、神様ってあまりに薄情じゃないかということで、信仰の篤い人にはウケが悪いでしょうね。
そもそも、自分に不幸が振りかかった途端に神に見放されたとして信仰心を無くすってのはどうなんだろうとは常々思うところですが、宗教とはなんぞやも分からない子供を対象にしたのはまずいだろうとも思います。

ま、それでも個人的には、スーパーナチュラルなオカルトホラーに転じたことに驚きつつも、面白く観ました。
ジョナサンが別人格に変わる瞬間など、Jホラーの影響ありと思える映像は不気味です。
でも電話で呼び出されると出てくるってのはどうなのかな(笑)
そんなところも「くだらない」と揶揄されるところかな。

トラックバック一覧

  1. 1. ◆シェルター。

    • [「らりるれろ」通信 Remark On The MGS]
    • December 17, 2013 06:39
    • シェルター(2009)。 監督  モンス・モーリンド        ビョルン・スタイン 出演  ジュリアン・ムーア           カーラ      ジョナサン・リス・マイヤーズ     デヴィッド      ジェフリー・