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映画ノート

キリングゲーム




デ・ニーロVSトラヴォルタが死闘を繰り広げるアクション・スリラーな一編です。
キリングゲーム(2013)アメリ
原題:Killing Season
監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演:ジョン・トラヴォルタロバート・デ・ニーロ/マイロ・ヴィンティミリア/エリザベス・オリン
日本公開:2014/1・11
デ・ニーロとトラヴォルタは意外なことにこれが初顔合わせだそう。
そもそもは『ダイハード』のジョン・マクティアナン監督でニコラス・ケイジとトラヴォルタの『フェイス/オフ』対決再びを意図した企画だったようですが、ニコラスの代わりにデ・ニーロ、監督も『デアデビル』『ゴーストライダー』のマーク・スティーヴン・ジョンソンを迎え、ようやく製作されたのだとか。



 本作でトラヴォルタが演じるのはセルビア人のエミール・コヴァック。ボスニア戦争を経験した彼は18年来の恨みを果そうとアメリカにやってくる。その標的となるのが、デ・ニーロ演じる退役軍人のフォード。
ロッキー山脈のふもとを舞台にコヴァックのハンティングが始まるというわけ。フリードキンの『ハンテッド』を思い出しました。

 面白いのは、心と体に戦争の傷を抱えたフォードにも徐々に戦闘の勘が蘇り、ヨボヨボかと思ったデ・ニーロがトラヴォルタと互角に戦う点です。知力を駆使した戦術を繰り出してくるため飽きさせません。しかしながら、気の毒になるほど痛い目に遭うので、見ていて非常につらい。しかも交互に繰り出す拷問がグロくて痛いんですよw勿論この残酷な死闘を満喫するのが本作の楽しみかたなんですけどね。

 逆に言うとドラマとしては物足りない。そもそもセルビア人兵士がNATOの個人に18年間も恨みを抱き続けることにも説得力を欠くし、おまけにトラヴォルタのセルビア人訛りが妙(笑)
お手本にしたのはサシャ・バロン・コーエン?と、つい笑っちゃう。




 それでも、デ・ニーロ、トラヴォルタがほぼ出ずっぱりで頑張ってるんですから、演技で映画の質を引き上げていることは間違いなし。特に心と体に戦争の傷を持つデニーロ・ニーロの繊細な演技は秀逸で、手先の器用さに百戦錬磨の戦士の一端を垣間見せるところも凄い。彼がようやく戦争のトラウマに終止符を打つというプロットもいいのだけど、そこを分析して表現しようとしても出来ないのは、私のボスニア戦争への知識の浅さか。それとやっぱり描き方の浅さゆえもあるでしょうね。ホッコリするからだまされるけど流れに説得力がなかった。

ともあれ、お二人、特にデ・ニーロには心からお疲れさまでしたと言いたいですね。 
自然美溢れるロケーションと音楽は美しかった。