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映画ノート

12 and Holding(原題)




今日は日本未公開ながら、とても考えさせられる作品を観たので紹介します。
12 and Holding(2005)アメリ
原題:12 and Holding
監督:マイケル・ケスタ
出演:コナー・ドノヴァン/ジェレミー・レナー/アナベラ・シオラ/ジェイン・アトキンソンマルシア・デボニス
日本公開:
12歳の双子の兄弟のひとりがいじめっ子の放火により命を奪われたことから始まる物語。



 残された双子のかたわれジェイコブ(コナー・ドノヴァン)は自分への責任を感じるとともに、悲しみに沈む両親に向かい合うことになります。そんなジェイコブに仲のよい友達のひとりマーリーが「向かい合う」ことをアドバイス。ジェイコブは少年院に収容されたいじめっ子少年に面会し、恨みつらみをぶつけるんですね(汗)
ジェイコブは生まれつき顔に紫斑があり、両親の愛情は死んだルーディにのみあると思っている子供。
ルーディが死んだことで両親は自分だけを愛すようになると思った矢先、養子を貰うことを両親から聞きショックを受けます。映画は残された双子の片割れジェイコブのエピソードと同時進行で、仲良しグループの太っちょの男の子レオナードと、ジェイコブに助言したチャイニーズ系の女の子マーリーの物語を描き、それぞれの運命を対比させる手法。 



 
 それぞれ家庭に問題を抱えた子供たちが主役ですが、そこに絶妙に関わってくるのがジェレミー・レナー。ジェレミー演じるガスは精神科医であるマーリーの母親(アナべラ・シオラ)の患者。勿論ワケありな青年ですが、マーリーは工事現場で上半身裸で働くジェレミーに恋して、積極的にアプローチするようになるんですね。おませですがwそれも父親への憧れが元になっていたのでしょう。バスルームで全裸で号泣するシーンもあり、キュートなお尻まで披露してくれるジェレミーにファンはクラクラ・・って、そっちかいw

 そんな美味しいシーンがあったり、太っちょ君が全員肥満の家族を変えようとする試みなど、ユーモアも交えた作品ながら、深刻で悲惨な部分ももち合わせた一本です。
12歳の身近な死をきっかけに、何かを打破しようとする3人ですが、彼らの運命は係わる大人の対応により大きく変わってしまうのですよ。




 あざを隠すために、最初はジェイソンみたいなマスクを被って登場するジェイコブが、ルーディの死後はマスクを被らない。ところが、あるシーンで彼は再びマスクを被ります。最初は役者一人でルーディとジェイコブを演じるための工夫だと思っていたのだけど、見終わった今となってはマスクにも大きな意味を感じます。
 
 そんな演出含め、子供たちの繊細な心を実に丁寧に描いていて本当に素晴らしい。演技も自然で秀逸でした。思春期の子供を持つ親御さんには、はっとする部分が多いのではないかな。子供の心の叫びに目を向けることの大切さを痛感します。ぜひともソフトリリースして欲しい一本です。