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映画ノート

THE ICEMAN 氷の処刑人




マイケル・シャノンが実在の殺し屋リチャード・ククリンスキーを演じるサスペンス・ドラマです。
THE ICEMAN 氷の処刑人(2012)アメリ
原題:The Iceman
監督:アリエル・ヴロメン
出演:マイケル・シャノンウィノナ・ライダージェームズ・フランコレイ・リオッタクリス・エヴァンス/ デヴィッド・シュワイマー
日本公開:2013/11・9
シリアルキラーものって、その人物の背景にはどんなものがあるのかと気になります。
普段はそうと気づかれぬ二重生活を送っていることも多いわけで、冷徹な殺人鬼とのギャップはどうなのかということにも興味あり、犯罪心理に迫るようなシリアルキラー作品は意外に好み。
本作も20年間に100人を殺害しながら、表向きには家族思いのよき家庭人だったということに惹かれ観賞しました。

 マイケル・シャノン演じるリチャード・ククリンスキーはポーランドからの移民です。
マフィア管轄の裏ビデオのダビングという仕事を生業としながら、その内容を偽り、美しい女性デボラ(ウィノナ・ライダー)を射止めたリッチーことククリンスキー。彼の二重生活はここから始まるのです。
やがて可愛い娘にも恵まれるリッチー。しかし、ひょんなことから度胸を買われ、マフィアの下で殺し屋として生きることになるんですね。リッチーを雇うことになるマフィアの元締めロイにレイ・リオッタ。マフィアと言えば彼でしょう。リッチーはロイの期待通り冷徹に仕事をこなし、羽振りもよくなる。しかしながら資金源であるロイとの契約が危うくなると、リッチーは他の殺し屋に仕事を斡旋してもらうようになり・・。




 先にも書いたように、彼がどのように殺人鬼と家庭人の顔を使い分けたのかに興味を持ったのだけど、見ているうちにリッチーの哀れに胸が痛むこととなりました。
アイスマン」と呼ばれる仕事ぶりで確かに冷徹で残虐な面を持ちあわせていたリッチー、けれどその根源には幼少時、親から虐待を受けたという背景があったんですね。おそらくは教育を受ける環境にもなかった彼には仕事も限られていたはず。それでもリッチーは純粋に幸せな家庭を守りたかったんでしょう。
一度豊かな暮らしを覚えればそれを保つのは大変なことで、家族を幸せにしたいと思いながらも、金に執着し疲弊していく。。マイケル・シャノンは冷徹さと内に秘めた優しさを垣間見せつつ、ジレンマに葛藤するリッチーを相変わらずの怪演で魅せてくれます。正直前半はこれ見る価値あるのかな?と思ったんですが、彼の背景と葛藤が明らかになる中盤からは面白みが増しました。

 リッチーの妻を演じたウィノナは20年間も一緒にいて夫の仕事に気づかない、ある意味ぼんくらな夢見る夢子さんをうまく演じてました。相変わらずお綺麗で、リッチーが何にかえても守りたかった妻というのにも説得力を与えてますね。
キャプテン・アメリカクリス・エヴァンスがこんな役?というのも意外性あり。
チンピラなフランコ君に至っては、退場の直前まで彼と気づかなかったわw

マイケル・シャノンのお隣が監督のアリエル・ヴロメン