しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】 ベイルを侮るな!『ファーナス/訣別の朝』




クレイジー・ハート』のスコット・クーパー監督の新作です。

ファーナス/決別の朝(2013)アメリカ/イギリス
原題:Out of the Furnace
監督:スコット・クーパー
出演:クリスチャン・ベイルウディ・ハレルソンケイシー・アフレックフォレスト・ウィテカーウィレム・デフォーサム・シェパード
日本公開:2014/9/27
ラッセル(クリスチャン・ベイル)とロドニー(ケイシー・アフレック)は寂れた鉄鋼業の町に暮らす兄弟。
よりよい人生をと思いながらも、病気の父を抱え、生活のために地元で働く兄ラッセル。
一方弟ロドニーは、定職にもつかず賭博金の借金から賭けボクシングに関わり始めていた。
ある日、オーバーワークを重ねるラッセルが事故を起こしたことから、兄弟の人生は更に狂い始め・・
 
 冒頭、ドライブイン・シアターで起きるトラブル。
無慈悲に暴力を振るい、周りを震え上がらせる男ハーラン(ウディ・ハレルソン)が影でこの町を支配する悪の根源であることがわかってきます。
このとき上映されているのが、『ミッドナイト・ミートトレイン』(2008)。
今でもドライブインシアターが存在するところにも、この町のひなびた一面が見えるというもの。




 クリスチャン・ベイル演じるラッセルはまじめで優しい男ですが、彼の起こした事故により家計を支えることができなくなり、兄弟の未来に暗雲が立ち込めるんですよねぇ。
監督がベイルをあて書きしたとあって、ベイルははまり役。



ケイシー・アフレックも、フラフラと頼りないのに危なっかしい男を演じさせたら右に出る者なしでしょ。
心に傷を負ってやさぐれてはいるけれど、家を支えたい思いは彼にもあり、その責任感が不幸へとつながってしまうのが悲しいんですよね。
今回は賭けボクシングで細マッチョな一面も見せてくれます。



 中盤まではとことん落ちていく兄弟の悲哀にひたすらドヨヨーン
行方不明になった弟を探すため、ラッセルが動き出すあたりから緊張感もピークに。
巨万の富も、バットマンスーツも持たないベイルが、どう悪に立ち向かうのかも興味あるでしょ。
しかも彼を援護するのが『MUD』でのお姿も記憶に新しいサム・シェパードですからね。
ま、実際は思ったよりもかなり地味でしたが・・

 ロドニーを雇う町のやくざに ウィレム・デフォー、警察にフォレスト・ウィテカー
田舎町の閉塞感と、そこに生きる男たちの悲哀がたまらない映画です。
ケイシーとベイルの兄弟愛も見もの。
ケイシーがイラク帰りで心に傷を負っていたり、経済の破綻を垣間見せるところに
政治の問題も垣間見せますね。
嫌いじゃないけど元気なときに見るのが正解かな。

ポスターは『クレイジーハート』のギターをライフルに置き換えただけ・・みたいなw