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映画ノート

【映画】 ジゴロ・イン・ニューヨーク




ジゴロ・イン・ニューヨーク (2013)アメリ
原題:Fading Gigolo
監督:ジョン・タートゥーロ
出演:ジョン・タートゥーロ/ウディ・アレンヴァネッサ・パラディリーヴ・シュレイバーシャロン・ストーンソフィア・ベルガラ
レア本の本屋を閉めることになり困ったマーレー(ウディ・アレン
彼は友人のフィオランテ(ジョン・タートゥーロ)を誘い、金持ちの女性相手にいかがわしいビジネスを始めようともちかける。
「自分が?うそでしょ。」
気乗りのしないフィオランテだったが、お金は欲しい。
同意の上、女性の相手をしたらば、あらま意外や評判いいではないですか!!


ジョン・ターツゥーロが監督&脚本をてがけ、しかもジゴロを演じると言うことでとっても楽しみにしてた本作。
評判どおり面白い作品でした。





まずタートゥーロ・ジゴロがいいよね。
もっと決め決めに演じてるのかと思いきや、意外や静かで自然
それでもそこはかとなく気品が漂い、こんなタートルネックでダンスしても何故か素敵
女性を理解し優しい雰囲気まで醸し出すものだから、シャロン・ストーン姐さんもチップをはずみます。
「俄か」を悟られまいとする受け答えの「間」も絶妙で
低いテンションをキープしながらもコメディ演技がしっかり出来てるタートゥーロは流石でしたね。
思いつきが大当たりでホクホクと調子に乗るポン引きウディも「らしく」て可笑しいし
凸凹コンビに始終ニマニマしちゃいました。

そもそも、タートゥーロがこの映画を撮ろうと思いついたのは
ウディと同年代の友達が本屋を畳むことになり、これから生活どうするんだろうと思ったことがきっかけだとか。
ポン引きのアイディアをウディに話すととても気に入り、ウディは草案の段階から映画に関わってるそうで
どうりでタートゥーロ映画でありながらウディ・アレンテイストですよね。


女性との性を考えるときに、宗教が大事な要素になるとタートゥーロ。
その感覚は日本人の私たちにはピンと来ないところだけど
本作では、ユダヤ教指導者の未亡人との仄かな恋が描かれ
戒律を守りながら孤独と対峙するヒロインをヴァネッサ・パラディが演じています。

原題のFading Gigoloというのは、気乗りのしないという意味のreluctantでも良かったけれど
色あせた写真をイメージしてあえてFadingという言葉を用いたのだとか。
本屋が廃れていくように、時代と共に物事は変わっていく
けれども変わらないのは人との関係 ということで
ふたりの友情は、きっとこれからも続いていくんだろうなと思わせるエンディングが心地よいですね。
ちなみに変わらないものの代表がユダヤ人のコミュニティということでもあるようで
変わりゆくものとの対比が描かれた形でしょうかね。判りにくいけど。

花を扱うタートゥーロの手際のよさや粋な音楽も居心地よく
お洒落で優しく、洗練された大人のコメディを楽しみました。