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映画ノート

【映画】『ゾンビ・リミット』”シッチェス映画祭




シッチェス映画祭特集 7本目
今日も”シッチェス映画祭"ファンタスティック・セレクション2014からの一本で
[REC]シリーズの製作者が放つ新感覚のゾンビ映画ゾンビ・リミット』です。
ゾンビ・リミット (2013)スペイン/カナダ
原題:The Returned
監督:マヌエル・カルバージョ
出演:エミリー・ハンプシャー / クリス・ホールデン=リード / ショーン・ドイル/ クローディア・バソルス/ バリー・フラットマン/ メリーナ・マシューズ
日本公開:2014/10月
80年代、ゾンビウィルスの蔓延により多くの命が奪われた。
しかし今はゾンビ化して死んだ人間から抽出したプロテインからワクチンが開発され、感染者もワクチンの定期的な投与により普通の生活を送ることが可能になった。しかし世間ではワクチンの不足がささやかれるようになり・・



この映画の何が新しいかと言うと、ゾンビに感染してもワクチン投与により正常に暮らせるという設定。
彼らはリターンド(returned)と呼ばれるいわゆる保菌者ですが、リターンドたちも48時間毎にワクチンを投与しなければゾンビになってしまうというのが厄介です。
街を歩いていた人がいきなりゾンビ化し、ガオーーっと襲ってくるやもしれず、周囲のものにとってもそれは大変な脅威なわけで、そこには偏見も生まれ、リターンドを排除しようとする人たちも現れる。
一方、ゾンビで死ぬものが少なくなれば当然ワクチンは品薄になり、リターンドは色んな方向から命の危険にさらされることになるわけですねぇ。



主人公はそんなリターンドのアレックス(クリス・ホールデン=リード )を恋人に持つ医師ケイト(エミリー・ハンプシャー)。
ケイトは医師という立場を利用し、ワクチンを不正に買い取っています。
けれどもそれも難しくなりつつある中、彼女は愛するアレックスを守るため必死に戦うんですね。




最近ではコメディ寄りのゾンビものが主流になってきてたこともあり、笑いを排除したまじめな作りに途中間延びを感じたりもしたのだけど、危機が迫る中盤からどんどん面白くなるのね。
時々挟まれる少女時代のフラッシュバックカットから、ケイトの背景もわかると、切実さも理解できる。
アレックスが本当にいいヤツでねぇ。クライマックスには泣いてしまった。





しかもこの映画にはとんでもないツイストまで用意されてて、えー?そんなぁってわけで
クライマックスを超える衝撃に二度泣き(泣)その作り込みにも感心した次第です。続編あり?

社会派な一面も持つ本作は、人間のエゴ、リターンドとリターンドを愛するものの苦悩と葛藤なども丁寧に描かれ、なかなかに見ごたえがありました。