【映画】ペキンパー『ガルシアの首』と辿る男への道
今月は「旅に出たくなる映画」を特集する予告しましたが紹介する映画が必ずしも「行きたい」と思うものでなさそうなので、
少し予定変更w主にはロードムービーと、あとは単純にタイトルに土地の名前が出てくる映画を取り上げますね。
今日はサム・ペキンパー監督の『ガルシアの首』。
ガルシアの首(1974)アメリカ
原題:Bring Me the Head of Alfredo Garcia
監督:サム・ペキンパー
出演:ウォーレン・オーツ / イセラ・ベガ/ ギグ・ヤング/ ロバート・ウェッバー/ エミリオ・フェルナンデス/クリス・クリストファーソン/ ヘルムート・ダンティーネ
メキシコの大地主の娘の妊娠が発覚。
これに起こった地主は娘から相手の名前を聞き出し、アルフレド・ガルシアの首に賞金を懸けた。
酒場のピアノ弾きベニー(ウォーレン・オーツ)は、情婦のエリータ(イセラ・ベガ)から
ガルシアが事故で死んだことを聞き、エリータと共にガルシアが葬られた彼の故郷を目指す。
しがないピアノ弾きが懸賞金のかかったガルシアの首を求めて、
メキシコの田舎町を行くこれも一種のロードムービーですね。
しかしながら、目指す首は墓の中しかも同じく懸賞金目当てのつわものどもとの熾烈な戦いが待ち受けているわけで・・
はっきり言ってこんな旅はいやだ!(笑)
そもそも腕に自信があるわけでもないベニーが危険なミッションに挑むのは何もいいことない下り坂人生から
何とか這い上がるチャンスを得たいから。
ベニーの向こう見ずなまでの生き様は、アル中、ヤク中で身を滅ぼしたとされるペキンパー自身にも被るようで
やるせなくもあるのねぇ。
不安に震えながらも惚れた弱みで、地獄の果てまでついていく覚悟のエリータは
大地のような存在感。
途中、エリータと結婚の約束をしたり、ピクニック気分でひと時幸せな時間が流れるのが
その後に訪れる修羅場との対比になっていて、これまたたまらん。
正直バイオレンス描写に定評があると聞いて避けてきたペキンパーだけど
暴力シーンの影にこんな男の刹那を描く監督だったんだなぁと改めて知った次第。
ベニー役のウォーレン・オーツは、決して男前ではないけれど、
エリータへの愛や金よりプライドという男気と意地、哀愁が滲み出る演技が素晴らしい。
ガルシアの首を「アル」と呼び、画面の外にまで臭ってきそうなずた袋の中の「アル」と
唯一無二のバディ同士のようになっていくところにも、
敵に囲まれ信じるものが他にないベニーの孤独が強調され、
可笑しさの反面切なくもあった。 ベニーカッコいいよ。
とにもかくにもグッときた!