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映画ノート

【映画】コングレス未来学会議



戦場でワルツを』のイスラエル人監督アリ・フォルマンの新作。
ポーランドスタニスワフ・レムの『泰平ヨンの未来学会議』を原作にしたSF映画です。

コングレス未来学会議(2013)イスラエル/ドイツ/ポーランド/フランス/ベルギー/ルクセンブルク
原題:The Congress
日本公開:2015/6
allcinemaデータ

主演のロビン・ライトは、映画の中でもハリウッド女優ロビン・ライトを演じてまして
期待の若手女優だったにもかかわらず、結婚し家庭を優先したという設定はご本人のキャリアに被ります。
冒頭、彼女は所属の映画会社と20年契約の話をするんですが、
これが、彼女のデーターをデジタル化して、映画に出演するというものなんですね。
ポルノやナチものは嫌、などと言ってはみるものの、障害のある息子を抱えたシングルマザー、ライトに選択の余地はなく・・




そこから話は一気に飛んで、20年後、60代になったロビンは映画会社との契約更改のため、タイトルのコングレス、いわゆる会議に出席することになるんですが、なんとここからはアニメになっちゃうんですよ。しかもかなりエキセントリック。
そこでロビンに持ちかけられる話というのがまた突拍子もなくてね。
デジタル技術の発達でアクションできなくてもアクションスターになれたり、着ぐるみ着なくても猿になれる時代。未来はもっとえらいことになりますぞ。もはや俳優はモノ・・
映画の将来はどうなるんでしょう。

監督の前作『戦場でワルツを』は、兵士として戦争に参加したものの、ある記憶がまるで失われていた監督自身の体験を映画にしたものでした。
監督は記憶や存在の曖昧さをファンタジーで描くのがお得意なのかな。
本作でも妄想と現実が何層にも入り混じる描き方になっていて、そのため正直かなりヤヤコシイ。
変形『レナードの朝』と申しますか・・、覚悟して見ないと、かなり混乱すると思います。
しかしその一筋縄ではいかないところも面白さのうち。
ロビンが妄想の世界に生きることになる理由がわかる終盤では、切ない気持ちでいっぱいになりました。

どう生きるべきか決めるのは自分自身。
できれば現実の世界に幸せを見出したいものです。
途中戦争の混乱を垣間見せるところはイスラエル出身の監督ならでは。
ソラリス』の原作者の作品ということで、どこか悠久を思わせる終盤の感じは凄くよかった。


日本公開は6月。