しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】愛の嵐


愛の嵐(1973)イタリア、アメリ
原題:The Night Porter

映画データ

あらすじ
'57年のウィーン。身元を隠し、ホテルの夜番のフロント係として働く元SSのマックスの目前に、かつて弄んだユダヤ少女ルチアが今や高名な指揮者の妻となって現われる・・

トレーラー


感想
裸にサスペンダーのランプリング画像に禁断の香りを感じ、気になりながら忘れ去っていた本作、先日『ザ・ステイトメント(原題)』の記事にいただいたおみゃあさんのコメントで思い出させてもらって初鑑賞とあいなりました。

ナチス崩壊後十余年のウィーン。
元SSマックス(ダーク・ボガード)はホテルの夜のフロント係(night porter)として働いている。
そこがナチス残党の息がかかっているらしいことは、ホテルに出入りする面々の様子からも窺えます。ある日、美しい人妻ルチア(シャーロット・ランプリング)が指揮者の夫を伴いホテルにやってくる。マックスに気づき固まるルチア。
10年以上の時を隔て、再び出会ってしまった彼らが辿る運命とは・・


フラッシュバックにより、やがて見えてくるルチアとマックスの関係。
ルチアはユダヤ人として収容所に送られた少女だったんですね。
運命の再会が呼び覚ましたのは恐怖ではなく甘い官能だった
2人は危険を覚悟で再び身体を重ねることになるんですねぇ。

とにかくランブリングが美しい
マックスに気に入られ、弄ばれるルチアが仮面のSSたちの集うサロンで
サスペンダー姿で踊る姿の怪しさたるや

やがて命を守るため隠遁生活を余儀なくされる2人
途中、ルチアの悪戯でマックスがガラスの破片で足を怪我するというシーンがあるんですが
これが後半効いて、割れたジャムの瓶に緊張させられることになりました。
実際マックスはルチアと身体を重ねながら、瓶に手を伸ばそうとするんですよね。
二人の隠遁生活が『愛のコリーダ』を思い起こさせたこともあって妄想が広がってしまった。
ノーカット版がアダルト扱いされているところをみると、おそらくはもっと淫らな行為も撮られていたんでしょう。それがあったほうが破滅が際立ち、映画としては成り立つ気がしますね。

未来のない愛の顛末は悲しいけれど
ラストシーンに不思議な清々しさと美しさがあるのは、それが2人にとっての開放だから

ロマンチシズムと退廃の絶妙な塩梅
これ好きです。





◆TBありがとうございます!

 愛の嵐 -CINEmaCITTA'-


映画「愛の嵐」 監督リリアーナ・カバーニ 1975年

ブロ友さんの記事で「愛の嵐」を拝読 公開より やや遅れて劇場鑑賞した記憶が・・・ありましたパンフレット 現在 S.ランプリングの作品をご覧になった方は「オバハン」しか イメージ出来ないかもしれませんが 当時のランプリングは モデル出身で「ヨーロッパの頽廃を体現する」といわれ 恋多き女としても名を馳せていました   プログラム執筆者は 黒田恭一(音楽評論家)や 今野雄二田山力哉(映画評論家) ... 

2015/8/23(日) 午前 10:28 [ アンダンテ また旅日記♪ ]